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衝撃試験

図表

表1 試験の形態
表2 所要時間の目安
表3 所要時間の例
表4 手数料
表5 衝撃試験の標準条件
表6 取付面の種類

図1 試験機の動作
図2 安全カバー
図3 標準プレート治具の固定の様子
図4 標準プレート治具の寸法
図5 立方体取り付け面の寸法
図6 立方体取付面の試験品搭載可能領域
図7 衝撃テーブル取付面の外観
図8 衝撃テーブル取付面の寸法

図面

図4 標準プレート治具の寸法
図5 立方体取り付け面の寸法
図6 立方体取付面の試験品搭載可能領域
図8 衝撃テーブル取付面の寸法

1.衝撃試験の概要

1.1 概要

  1. 衝撃試験は、製品や部品に衝撃的な加速度を作用させ、所定の性能を保つかどうか確認する試験です。
  2. 試験品は、試験機に直接固定できないので、固定に必要な治具をお作りいただく必要があります。
  3. 事前に電話でご予約ください。
    Email、FAX等ではご予約いただけません。

1.2 試験の形態

1.2.1 概要

表1に示す二つの形態で試験を行います。予約の際、どちらかをご指定ください。

表1 試験の形態
形態内容利用可能治具可能試験条件試験品
立会試験 当日立会で試験
可能な限り指定条件を実現
数種類から選択 30~1000G 試験当日お持ち込み
預かり試験 試験品付き治具をお預かり
試験終了後、返却
標準プレート治具
(一種類のみ)
標準条件(表5)のみ
50~1000G
試験日以前にお持ち込み

お持ち込みの際、試験担当者が試験品を確認するとともに、試験条件をお伺い致します。

1.2.2 立会試験

  1. 試験品の様子をご覧頂きながら、その場で試験条件を調整することができます。
  2. 試験時に衝撃加速度波形をご覧頂けます。(表示画面のハードコピー可)
    なお表示される波形は、試験機内蔵のセンサによるもので、試験品そのものの値ではありません。

1.2.3 預かり試験

確実に試験を行うため、標準プレート治具による標準条件のみの試験となります。

  1. 試験中の試験品の様子をお知りになりたい場合は、立会試験をご利用ください。
  2. 試験内容に応じた口頭説明が必要なため、加速度波形のハードコピーはお渡しできません。

1.3 所要時間

所要時間は、主にご用意いただく治具の付け替え時間に依存します。

およその所要時間は、初期調整15分 + 試験品付け替え時間×試験方向数×試験品個数 + 事後処理5分 となります。

表2 所要時間の目安
作業所要時間備考
初期調整 約15分 条件の確認、試験機の調整
試験 衝撃 1回あたり20秒程度 実際は、試験品の数と試験方向を乗じた時間となります。
一方向あたりの衝撃回数は、所要時間にほとんど影響しません。
試験品の付け替え 標準プレート治具 3~5分
標準以外 5~15分
事後処理 約5分 事後打ち合わせ、手数料算出等
表3 所要時間の例
試験品方向衝撃回数/方向治具数所要時間(時間)
標準プレート治具に固定 6 10回程度まで 3 約1時間半
標準以外の治具(付け替えに10分と仮定して) 6 2 約2時間半

1.4 試験できない試験品

次のような場合、試験をお断りすることがあります。

  1. 爆発物、劇薬、病原菌など危険が伴う試験品。
  2. 破損によりガラスなど細かい破片が飛散する可能性のあるもの。
  3. その他、治具や試験品の形状に問題があり、試験機が破損する恐れのあるもの。

1.5 試験実施証明書

ご希望により、試験条件を証明する「試験実施証明書」を発行いたします(有料)。

  1. 手数料は、表4のとおりです。
  2. 預かり試験では、お持ち込みの際にお申し付けください。
  3. 立会試験では、試験実施時にお申し付けください。
  4. 試験実施日以後は、試験実施証明書の作成を承ることはできませんので、ご注意ください。
  5. 試験実施証明書は、試験の内容を証明する唯一の書類であり、本書以外の文書は作成いたしません。

1.6 手数料

試験手数料は、衝撃3回を単位として計算します。総衝撃回数を3で除した値(端数切り上げ)に手数料単価を乗じます。試験実施証明書の発行をご希望の場合は、手数料と、後日郵送するためのレターパックライトをご用意下さい。

  1. 手数料は、試験申請書に長野県収入証紙を貼附することで、ご納入いただきます。
    なお、収入証紙は当部門建物内の証紙販売所でも取扱っております(長野県収入証紙売り捌き所一覧)
  2. 手数料をお納めいただきますと、「納付証明書」を発行します。
    納付証明書には試験名称と納付金額が記載されますが、具体的な試験条件は記載されません。
表4 手数料
試験手数料
衝撃波形手数料単価(衝撃3回ごと)手数料の計算例
正弦波 4,100円 正弦波 6方向各3回(総計18回)では、18/3 x 4,100 = 24600円です。
試験実施証明書発行手数料
  600円 返送用のレターパックライトをご持参ください

2.試験機

2.1 衝撃試験機の動作

  1. 試験品は、お作りいただく治具を介して衝撃テーブルの上面に固定します。
  2. 衝撃テーブルが所定の高さまで上昇し、空気圧により急速に落下します。
  3. テーブルの下面が緩衝材に衝突します。
  4. 衝突するときの衝撃的な加速度がテーブル上の試験品に作用します。
試験機の動作
図1 試験機の動作
エア・ブラウン(株)AVEX-SM-110-MP型
エア・ブラウン(株) AVEX-SM-110-MP型

2.2 試験品を取り付けるための治具

  1. 試験品を固定するための治具をお作りいただきます。
  2. 試験品の大きさや加速度によって、必要な治具の形状が異なります。4.試験品の取付をご覧ください。

2.3 安全カバー

  1. 危険防止のため、安全カバーを閉じないと試験機は作動しません。
  2. この安全カバーにより、試験品搭載可能領域は幅500mm×奥行き500mmに制限されます。
  3. 試験品を取り付けるときは、左右に開きます。
安全カバーの様子
図2 安全カバーの様子

3.試験条件

3.1 試験条件の概要

  1. JIS等の公的規格では、製品(試験品)の使用目的に合わせて試験条件を選びます。
    このため、JIS等の規格番号をお知らせいただいても、実際の試験は実施できません。
    試験に際しては、加速度と作用時間を具体的にご指定ください。
  2. 試験装置の構造上、加速度と作用時間を独立して任意に設定することはできません。
    加速度を指定した場合、作用時間は数通りの値からお選びいただくことになります。
  3. 試験時の衝撃は、試験品の重さや形状、室温などの影響を受け変動します。
    例えば、100G 6msとご指定いただいても、状況により5~7msの範囲でばらつくことがあります。
  4. 加速度は、試験機側に設置されたセンサで調整します。
    このため、ご指定の加速度が試験品そのものに作用することは保証できません。
    また試験機の構造上、試験品にセンサを固定して加速度を調整することはできません。

3.2 実施可能な条件

当部門で実施できる標準的な試験条件を表5に示します。

  1. 立会試験では、取付方法により標準条件以外の試験も可能です。表6をご覧ください。
  2. 預かり試験では、標準プレート治具による標準条件の試験のみを実施します。
表5 衝撃試験の標準条件
波形加速度(G)作用時間(ms)
正弦波 30 - - 18
50 2 5 12
100 1 6 -
200 3 - -
500 1 - -
1000 1 - -

【注意】 当部門の標準条件であり、 何らかの規格を示したものではありません。

4.試験品の取り付け

試験品は、お作りいただく治具を介して、試験機に取り付けます。

治具を介さずに試験品を試験機に直接取り付けることはできませんので、ご注意ください。

4.1 試験品固定の概要

試験品を固定するための取付面の種類を表6に示します。

  1. 試験実績が多く信頼性の高い標準プレート治具をお勧め致します。
  2. 標準プレート治具で対応できない場合は、専用治具(当該試験品専用の治具)をお作りください。
表6 取付面の種類(試験できることを保証するものではありません)
試験機側
取付面
取付方法試験品対応加速度試験形態振動試験との共用
対象試験品最大寸法
縦x横x高さmm
最大重量立会預かり
立方体取付面 標準プレート治具による固定 通常品 150x150x50mm 約5kg 30~1000G
専用治具による固定 やや大 300x300x200mm 約5kg 30~1000G × ×
衝撃テーブル取付面 専用治具による固定 大物 500x500x500mm 約10kg 30~1000G × ×
約60kg 30~300G

最大重量は治具の重さも含みます。

4.2 標準プレート治具による固定

当部門で試験する場合の標準的な固定方法です。

プレート状の治具をお作りいただいて、これに試験品を固定します。

4.21 概要

  1. 立会 試験と預かり試験、どちらでも実施でき、当場の振動試験用の治具としても使用できます。
  2. 図面通りに製作して頂いた場合、ほぼ間違いなく標準条件(表5)での試験が可能です。
  3. 標準条件と異なる条件をご希望の場合は、立会試験を実施してください。
標準プレート治具の固定の様子

一度に3枚程度まで、同時に試験できます。

標準プレート治具の固定の様子

試験品を裏返して試験する場合(図4、-Z方向)は、プレートの四隅をポストで支持します

図3 標準プレート治具の固定の様子

4.2.2 標準プレート治具の製作

  1. 図4の寸法で治具を作成し、試験品搭載可能領域内に試験品を固定してください。
  2. 6方向(図4±XYZ)の試験以外は、試験すべき方向を治具に明記してください。
    方向を明記した図面をご用意いただいても結構です。
  3. -Z方向(部品面を下にした方向)は、四隅を円柱状のポストで支えて試験を実施します。
    このため、プレート治具が試験機に密着せず、加速度が大きくなるほど-Z方向の信頼性は低下します。
    不安がある場合は、試験品を裏返して固定したプレートを別途ご用意ください。
標準プレート治具の寸法
図4 標準プレート治具の寸法
プレート厚さの目安
材質厚さの目安(mm)
5~10mm
アルミニウム 10~20mm
ベークライト 10~20mm

厚い材料をお使い頂くと、試験の信頼性が向上します。
できるだけ厚い材料のご使用をお勧めいたします。

4.3  専用治具による固定方法 (立会試験のみ)

4.3.1 概要

  1. 専用治具で固定する場合は、立会試験のみ可能です。預かり試験はできません。
  2. 治具を含めた試験品の形状、重さ、材質などにより、ご指定の条件で試験できないことがあります。
    この場合は、その場で条件を変えていただくか、試験を中止させていただきます。

4.3.2 立方体取付面への固定

試験機には、図5に示す立方体取付面が付属しています。

(1)立方体取付面の形状
  1. M6のねじ穴が60mmピッチで9カ所あります。
  2. ねじ穴の配置は、立方体取付面の下面を除く5面とも共通です。
立方体取り付け面の寸法
図5 立方体取り付け面の寸法
(2)立方体取付面への固定方法
  1. 治具は、M6のねじ穴を利用して立方体取付面に固定します。
  2. 試験品を含め、安全カバーと干渉しないように、下図の「試験品搭載可能領域」内に収めてください。
  3. 固定用のM6のねじは、必要な本数ご持参ください。
  4. 上面に固定する場合は、上から見て、立方体取付面を中心に300mm×300mmの範囲に収めてください。
  5. 治具を含めた試験品の重心は、できるだけ立方体取付面の中心に合わせてください。
立方体取付面の試験品搭載可能領域
図6 立方体取付面の試験品搭載可能領域

4.3.3 衝撃テーブル取付面への固定

大きな試験品を取り付ける場合は、立方体取付面を外して、衝撃テーブル取付面を利用します。

(1)衝撃テーブル取付面の形状
  1. 寸法はインチです。
  2. ねじ径は3/8インチ、ねじピッチは16山/インチ、ねじ穴の深さは15mm程度です。
  3. 全部で23個のねじ穴があります。
衝撃テーブル取付面の外観
図7 衝撃テーブル取付面の外観
衝撃テーブル取付面の寸法
図8 衝撃テーブル取付面の寸法
(2)衝撃テーブル取付面への固定方法
  1. 試験品を衝撃テーブル取付面に固定するための治具をお作りください。
  2. 試験品を含め500x500mm以下とし、安全カバー内部に収まるようにしてください。
  3. 固定に必要なねじをご用意ください。(ねじ深さは10mm程度)
  4. 加速度センサを取り付ける為に、いずれか一つのネジ穴およびその周囲φ40mmを使用します。取り付け治具および試験品と干渉しない構造として下さい。