平成18年度研究報告


 
長野県工業技術総合センター研究報告  No.2 (2007)

(ここには精密・電子技術部門分のみ掲載しました。)

  ※原本をご希望の方は工業技術総合センター精密・電子技術部門まで御連絡下さい


  《論文》
ランガサイトの微細エッチング加工
熟練技能者が行う作業の体系化に関する研究−注湯トレーナーの試作−
マロン酸を用いた低温無電解ニッケルめっき浴の検討
《資料》
非接触三次元測定機による真円度測定高精度化の一手法
角度分解X線光電子分光法による極薄シリコン酸化膜の膜厚測定
電位制御による電析コバルト/銅多層膜の構造観察
環境負荷物質の分析に関する事例紹介−六価クロムの各種溶出法−
ガス封入形標準キャパシタの温度・気圧特性
標準インダクタ遠隔校正の実証実験
デジタルマルチメータを用いた交流電圧測定における電源周波数の影響(第2報)
IEC61000-4-3第3版への試験対応
《抄録》
レーザによるマイクロニードルの表面・先端微細加工
電気めっきと無電解めっきを使用したニッケル−リン合金多層膜の作製


研究抄録

《論文》
ランガサイトの微細エッチング加工
三沢雅芳* 米久保荘** 黒河内靖子*** 原澤唯史***

 ランガサイトの圧電解析を行った結果,センサ応用の際に,電極形成を行いやすくするため,実際の加工に際しては,X板およびZ板での加工が必要となった。X板のウェットエッチングにおいて,塩酸によるエッチングでは,+X面以外の面が現れたかなり粗れた面が得られるが,エッチング温度50℃程度のリン酸によるエッチングではきれいな面が得られた。43%リン酸を用いて50℃のエッチングにより+X面のエッチング速度は4.1μm/hで,0.3mmの貫通加工が可能であることがわかった。

* 測定部
** 化学部
*** 電子部
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熟練技能者が行う作業の体系化に関する研究−注湯トレーナーの試作− *
小林耕治** 岡根利光*** 丸直樹****

 鋳造の一過程である注湯時に,熟練技能者が行う手業をセンシングし,後継者が熟練技能者の手業を学習できる「注湯トレーナー」を試作した。熟練者および後継者の手業を注湯曲線として取込み,鋳造方案毎に異なる注湯曲線を整理して保存する。また,熟練技能者の注湯曲線に対して,後継者の注湯曲線を比較・評価する機能も盛り込んだ。これにより,後継者の注湯技能向上が期待できる。また,後継者が行う注湯作業においては,リアルタイムに熟練者の注湯曲線と比較する事ができる。

* 共同研究
** 加工部
*** (独)産業技術総合研究所
**** 丸三工業株式会社

Top
マロン酸を用いた低温無電解ニッケルめっき浴の検討
永谷 聡*

 次亜リン酸ナトリウムを用いた無電解ニッケル-リンめっきの中で,高リン系で比較的温度の低い浴について検討した。マロン酸を添加剤として用いた浴でめっきを行った結果,65℃で10μm/h,リン濃度10wt%以上の無電解ニッケル-リン皮膜が作製できた。得られためっき皮膜についてX線回折による結晶構造の確認およびビッカース硬さを測定し,めっき浴中の成分の変化をキャピラリー電気泳動法を用いて測定した。

* 化学部
Top
《資料》
非接触三次元測定機による真円度測定高精度化の一手法
児野武郎*

 真円度測定においてもっとも高精度に測定する方法は真円度測定機を使用することであるが,ガラス基板上にエッチングされた円環パターンの真円度など,真円度測定機では測定できないものも増えている。非接触式の三次元測定機を使用すればこのようなものでも真円度測定が可能になるが,真円度測定機に比べ運動精度が格段に悪いため,測定結果に含まれる測定機の運動誤差成分が無視できないほど大きく,正確な測定は困難である。そこで,マルチステップ法による自己校正によって,運動誤差と形状誤差を分離し,真円度測定精度の向上を試みた。

* 測定部
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角度分解X線光電子分光法による極薄シリコン酸化膜の膜厚測定 *
米久保 荘**

 試料傾斜を用いた角度分解X線光電子分光法(AR−XPS)により、シリコンウェハ上の極薄シリコン酸化膜の膜厚を測定した。その結果、10nmまでの膜厚測定ができ、国際比較共同分析結果と比較しても、整合性のとれた測定結果が得られた。

* この研究の一部は産業技術連携推進会議知的基盤部会分析分科会の共同研究として実施
** 化学部
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電位制御による電析コバルト/銅多層膜の構造観察
成田 博* 高根直人*

 単一めっき浴にて,電位制御による電析法により,単層10nmのコバルト層と銅層により構成された多層膜の作製を試みた。得られた膜の断面をクロスセクションポリッシャによる乾式エッチング法にて作製し,電界放出型走査電子顕微鏡により断面構造の観察を行った。反射電子組成像より,得られた膜は,積層周期約32nmでコバルトと銅が交互に積層された多層膜であることを確認した。多層膜中の各層はほぼ均等の厚さで積層されていたが,特徴的な膜構造も観察された。

* 化学部
Top
環境負荷物質の分析に関する事例紹介−六価クロムの各種溶出法−
曽根原浩幸* 下里直子*

 工業製品からの六価クロム溶出量を評価するため,溶出法として一般によく使われている沸騰水溶出法,アルカリ溶液溶出法,人工汗溶出法について検討した。亜鉛めっき上に黒色クロメート処理がされた実製品を,JIS H8625,EPA SW846-3060A,VOLVO STD5713,102 に準拠した溶出法で評価した。単位面積当たりの六価クロム溶出量は溶出法により大きく異なること,1回の溶出操作では製品中の六価クロムを全て溶出できないことがわかった。誘導結合プラズマ発光分析法で溶出液を分析した結果,亜鉛の溶出が確認された。全クロムの定量結果は,ジフェニルカルバジド比色法による六価クロムの分析値とほぼ等しく,六価クロムが三価に還元される現象は見られなかった。

* 化学部
Top
ガス封入形標準キャパシタの温度・気圧特性 *
花岡健一** 松沢草介** 堂前篤志*** 中村安宏***

 産業界におけるキャパシタンス標準体系は,ガス封入形標準キャパシタまたは溶融石英形標準キャパシタを最上位標準器に位置づけている。最上位標準器の特性,例えば,長期安定度,温度・気圧等の環境特性などを把握することは,キャパシタンス計測を含むインピーダンス計測全般の信頼性を確保する上で重要である。長野県工業技術総合センターでは,2台のガス封入形標準キャパシタ(GenRad社製 1404-B 100pF, E.S.I.社製 SC1000 1000pF)を最上位標準器として保有している。今回,これらのガス封入形標準キャパシタについて,温度特性と気圧特性を評価したので報告する。

* (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受けた「計測器校正情報システムの開発研究」の一環として実施
 平成19年電気学会全国大会講演論文集第1分冊p148-149より(社)電気学会の許可を得て転載
** 電子部
*** (独)産業技術総合研究所 計測標準総合センター
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標準インダクタ遠隔校正の実証実験 *
松沢草介** 花岡健一** 坂上清一*** 下山昭彦*** 木藤量隆**** 坂本憲彦**** 中村安宏****

 従来,標準器を標準供給機関に校正依頼した場合,持ち込み校正が一般的である。最近,この方法に代わる遠隔校正が注目されている。遠隔校正では,標準供給機関が国家標準を基に校正した仲介器を依頼者に送り,依頼者の標準室で被校正器を遠隔で校正する。インダクタンス10mHについて遠隔校正の可能性を実証するため,日本電気計器検定所が,長野県工業技術総合センターの標準インダクタを遠隔校正する実験を行った。仲介器搬送に特別の配慮をせず通常の宅配便を用いても,目標の不確かさ100ppmを維持した校正結果が得られ,また,遠隔校正が従来の持ち込み校正よりすぐれている点が示唆された。

* (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受けた「計測器校正情報システムの開発研究」の一環として実施
 平成19年電気学会全国大会講演論文集第1分冊p155-156より(社)電気学会の許可を得て転載
** 電子部
*** (独)産業技術総合研究所 計測標準総合センター
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デジタルマルチメータを用いた交流電圧測定における電源周波数の影響(第2報) *
下平 隆** 花岡健一** 松沢草介**

 微小交流電圧をデジタルマルチメータで測定する際に現れるビートの発生原因を検証するため,測定電圧とデジタルマルチメータの電源電圧の位相差が測定値に与える影響を調べた。測定電圧と電源電圧を同期させたうえで,2つの電圧の位相差を変えたときのデジタルマルチメータの表示値の変化について測定を行ったところ,測定電圧と電源電圧を同期させた状態ではビートは観測されないが,位相差を変化させるとデジタルマルチメータの表示値はビート発生時の最大値と最小値の間で周期的に変化することが確認できた。

* 平成19年電気学会全国大会講演論文集第1分冊p154より(社)電気学会の許可を得て転載
** 電子部
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IEC61000-4-3第3版への試験対応
輕部俊幸* 柳沢秀信* 蜜澤雅之*

 2006年2月に発行された放射性無線周波数電磁界イミュニティ試験の国際規格IEC61000-4-3第3版について,精密・電子技術部門で現在保有する設備での試験実施可能範囲を検証した。その結果,試験周波数1000MHzまでの一般要求周波数帯と,携帯電話等の無線機器の放射電波からの保護のために要求される周波数帯の一部について試験対応が可能であることを確認した。

* 電子部
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《資料》
レーザによるマイクロニードルの表面・先端微細加工
山岸 光* 若林優治* 新井亮一* 吉田善一** 松井康広*** 望月英治****

 近年,医療分野において,液体の成分分析に必要なマイクロ流路,反応器などを小型・集積化させたμTAS(Micro Total Analysis System)が盛んに研究されており,測定に必要なサンプルや試薬の低減,測定時間の短縮化,携帯性の向上等が期待されている。この構成部品である無痛機能針のニーズも増加しており,この作製には三次元微細加工が必要不可欠である。そこで,無痛機能針を目的とした極微細パイプへのレーザー加工の適用性を検証するため,4軸加工ステージとYV04グリーンレーザーにより,銅パイプとステンレスパイプの表面に螺旋加工,スリット加工,先端へのテーパ加工,さらに,それらの加工により生じたバリの除去を試みた。その結果,外径0.3mm,内径0.15mmの銅パイプ,外径0.1mm,内径0.04mmのステンレスパイプに幅10〜20μmの螺旋溝やスリット,テーパを加工できた。また,再付着物や溶融物などのバリを除去できた。

レーザ協会誌 第31巻 第2号 pp.27-32(2006)

* 加工部
** 東洋大学工学部
*** 高島産業(株)
**** ミスズ工業
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電気めっきと無電解めっきを使用したニッケル−リン合金多層膜の作製
高根直人* 成田博* 永谷聡*

 The nickel phosphorus alloy multilayer film was made by using both electroplating and electroless plating together from a single bath including phosphinic acid and nickel sulfate. The composition of the nickel phosphorus alloy made by electroplating and by electroless plating from the same bath were different under suitable plating conditions. The multilayer film was made on a copper substrate by alternate continuous electroplating and electroless plating from that single bath. After bending that film with copper substrate in the liquid nitrogen to break the film and make the cross section, the film was examined. An SEM and EPMA examination of the cross section confirmed that the film was a multilayer of two kinds of nickel phosphorus alloys, and the phosphorus density of each layer was different. In addition, it was confirmed by XRD that the multilayer consisted of two types of layers, a crystalline one and an amorphous one. According to the observation of the structure of the cross section by SEM, it seems very likely that the strength of each layer was different.

表面技術 第57巻 第11号 pp.42-46(2006)

* 化学部
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