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平成16年度 長野県工業技術総合センター精密・電子技術部門研究報告  No.18 2005-8

  ※原本をご希望の方は工業技術総合センター精密・電子技術部門まで御連絡下さい


 
  《論文》
非接触測定における測定物保持に関する研究
気泡管試験器の内部校正法の検討−三次元測定機を用いた測定方法−
波長分散型蛍光X線分析装置による樹脂中の環境負荷物質分析に関する研究
電磁波ノイズ波形観測用光差動プローブの開発
フローティングゾーン法によるLa3Ta0.5Ga5.5O14単結晶の育成に関する検討
ディジタル電圧計ゼロ点調整方法の検討
直流分圧器校正装置の開発−仲介用分圧器の特性評価−
《資料》
押し込み硬さ試験における圧子降下速度の影響
イオン散乱分光法によるクロメート表面の分析
EPMA分析による技術相談の解析事例−アルミニウム合金の陽極酸化処理後に発生した色むら−
人工ゼオライトの合成に関する研究(第3報)−石炭灰中のムライト定量法 −
ニッケルー銅多層めっき膜の構造観察
耐食性試験の現状について
ICPドライエッチング装置による石英回折格子の微細加工
プランジャ型電磁石のヨーク形状による磁気吸引力変化解析
計測器管理システムの開発
《抄録》
次世代材料加工情報デジタル化技術の開発
Effect of Poling Field on Piezoelectric Properties of KNbO3 Crystal Grown by Vertical Bridgman Method

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研究抄録

《論文》
非接触測定における測定物保持に関する研究
尾坂 一* 江口穫正* 児野武郎*

 小さな部品、柔らかな素材の部品の形状測定は光を応用した非接触測定機を使用することが多い。しかし、測定圧がかからないということで、被測定物の保持方法についてあまり関心が払われていない。そこで、非接触測定における保持について検討を行った。その結果、非接触測定では被測定物の姿勢を変える大きな要因は測定テーブル移動時の加速度であり、その力はあまり大きくない。したがってその力に打ち勝つだけの力で保持すれば安定して測定ができる。そこで従来からの金属治具、磁力を使った固定方法に比較して、はるかに小さな力で保持する紙を使った方法を提案し測定実験を行った。その結果、保持力を容易に調整することができ、また部品に傷をつけることもない優れた方法であることを確認した。

* 測定チーム
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気泡管試験器の内部校正法の検討−三次元測定機を用いた測定方法−
江口穫正* 田中敏幸* 尾坂 一*

 精密水準器の校正に用いる気泡管試験器を内部校正する方法を検討した。この試験器の校正方法は、JIS規格にも記述がなく、大きさや重さによっては定期的な外部校正が困難であった。校正には三次元測定機を用いた。しかし、保有する三次元測定機は測定範囲が短いため、スティッチング法により分割して測定したデータを合成することで校正を試みた。その結果、校正に必要な複数の測定データが得られ、気泡管試験器の内部校正方法が確立できた。

* 測定チーム

Top
波長分散型蛍光X線分析装置による 樹脂中の環境負荷物質分析に関する研究
曽根原浩幸*

 樹脂中の環境負荷物質分析を波長分散型蛍光X線分析装置により検討した。カドミウム、鉛、水銀、クロムが数ppm〜数百ppm含有する樹脂試料を作製して、試薬量りとり量及びマイクロウェーブ分解による誘導結合プラズマ発光分光分析法を用いての標準値の値づけについて検討した。樹脂の厚さを変えながらカドミウム、鉛、水銀、クロムの蛍光X線強度を測定して、樹脂の厚さと蛍光X線強度との関係を明らかにした。ポリエステル及びアクリル樹脂について蛍光X線強度による検量線を作製して、樹脂の種類により検量線の傾きに違いがあることを確認した。コンプトン散乱強度による規格化により、検量線の傾きの違いが補正できた。ポリエチレン及びポリエステル標準試料についての定量分析と検出下限値の検討を行い、良好な結果が得られた。

* 化学チーム
Top
電磁波ノイズ波形観測用光差動プローブの開発
蜜澤雅之* 宮下純一* 輕部俊幸*

 ノイズイミュニティ試験、たとえばファーストトランジェント/バースト試験等で電子機器の誤動作対策を行う場合、回路内のノイズ波形観測は有効だが、通常のオシロスコープ用プローブでは誘導ノイズ等により妥当な観測結果が得られない。これを解決するため、光ファイバを伝送路とする光差動プローブを試作し、応答速度、同相電圧除去比、検出分解能電圧等の性能で、ほぼ実用レベルが得られた。これにより、実装置でのノイズ波形観測が可能となり、有効なノイズ対策を実施できる。

* 電子チーム
Top
フローティングゾーン法によるLa3Ta0.5Ga5.5O14単結晶の 育成に関する検討
垣内健児* 工藤賢一*

 ランガテイト圧電単結晶(La3Ta0.5Ga5.5O14)をフローティングゾーン法(FZ法)によって育成したところ、 透明な部分と白濁した部分が繰り返し現れる結晶を得た。これは化学量論組成近傍で一致溶融すると 考えて行ったものだが、育成結晶は分解溶融性の特徴を示していた。そこで原料棒、育成結晶及び浮 遊帯域徐冷法(SCFZ法)によって得た固化物の組成分析と焼結粉の示差熱分析を行った結果、ランガ テイト単相と判断していた原料棒の合成が不十分であることや育成結晶中の白濁した部分がランガテ イトとそれに類する2種の酸化物との共晶組織であること等が判明した。これらの解析結果から良質 な単結晶を得るための今後の実験方法について検討を行った。

* 電子チーム
Top
ディジタル電圧計ゼロ点調整方法の検討*
花岡健一* 松沢草介*

  ディジタル電圧計を用いて微小直流電圧を測定する場合、測定前に入力端子を短絡した状態で、ゼロ点調整を実行する。ところが、短絡リード線の種類を変えると、入力端子の熱起電力により表示値は数μVの範囲で変わり、測定エラーの要因になる。ゼロ点調整時の短絡方法を検討した結果、ゼロ点に起因する測定エラーを±0.1μV程度に抑えることができた。

* 電子チーム
Top
直流分圧器校正装置の開発−仲介用分圧器の特性評価−
松沢草介* 花岡健一*

 分圧比を自己校正し、市販分圧器の分圧比を校正する直流分圧器校正装置を開発した。この装置の自己校正により導出される分圧比及びこれを基に市販分圧器を校正した結果が、国家標準供給機関の校正値に対しどの程度整合しているか、市販の分圧器を仲介器として検証する方法を検討した。仲介器に選定した分圧器について、電圧を通電した後分圧比が安定するまでに要する時間(時定数)、分圧比の入力電圧依存性(電圧係数)、1回の移送の影響について評価した。選定した分圧器は、直流分圧器校正装置の分圧比1000V/10Vの校正の不確かさ0.3ppm(k=2)を検証するのに十分な性能を有すことを確認した。この分圧器を用い国家標準供給機関の校正値に対する偏差を比較検証することにより、自己校正した分圧比、及び装置による校正結果の信頼性を確認できる。

* 電子チーム
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《資料》
押し込み硬さ試験における圧子降下速度の影響
上条和之*

 計装化押し込み硬さ試験に用いる装置は、試料の表面位置を検出し、その位置からの荷重、押し込み深さ等を測定する。この測定値から硬さ等の機械的特性を算出する。表面位置は圧子の速度変化により検出することから、圧子降下速度による押し込み深さへの影響を調べた。その結果、圧子降下速度が大きくなるに従い、押し込み深さが小さくなり、押し込み量の小さい方がその影響が大きくなることを確認した。

* 測定チーム
Top
イオン散乱分光法によるクロメート表面の分析
米久保 荘*

 表面分析手法のうち、表面の最外原子層に敏感なイオン散乱分光法(ISS)により、無電解ニッケルめっきをクロメート処理した表面を分析した。その結果、クロメート最表面はクロム及び酸素で覆われていることが確認できた。

* 化学チーム
Top
EPMA分析による技術相談の解析事例 −アルミニウム合金の陽極酸化処理後に発生した色むら−
成田 博*  曽根原浩幸*

 長野県内のある企業から、切削加工後のアルミニウム合金(A5056)に陽極酸化処理を施したところ、ある材料ロットで半数近く皮膜表面に色むらが発生したため、その原因調査をしたいという技術相談を受けた。陽極酸化処理膜を機械的に除去した試料に対して、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による表面分析を行った。色むらは成分元素のマグネシウムとアルミニウムが正常部と比較して僅かに偏析していたために起こったことが分かった。

* 化学チーム
Top
人工ゼオライトの合成に関する研究(第3報)*−石炭灰中のムライト定量法 −*
曽根原浩幸** 成田 博** 春名淳介***

 石炭灰中のムライトを定量する一つの方法が提案できた。ムライト、ガラス、石英のフッ酸に対する溶解性の違いを明らかにした。2時間の室温分解において、ガラスは全溶解、ムライトは未溶解であるフッ酸濃度領域を見い出した。石炭灰を3.6%フッ酸で2時間室温分解した後、分解液中のアルミニウム量を求める方法により、11種類の石炭灰についてムライト含有量を明らかにした。


* 共同研究
** 化学チーム
*** 有限会社大誠技研
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ニッケルー銅多層めっき膜の構造観察
高根直人* 成田 博*

 単一浴めっき法で、単層30nmのニッケル層と銅層を積層させた多層膜を作製した。この膜の構造を観察するため、成膜基板であるシリコンウエハごと液体窒素中で冷却破断し、エッチング処理を行った後に、電界放射型走査電子顕微鏡で断面の観察を行った。その結果、設計通りの多層構造が観察でき、多層構造が作製できることを確認した。

* 化学チーム
Top
耐食性試験の現状について
永谷 聡*

 めっき、塗装などの表面処理を行った金属製品に関する耐食性試験として、中性塩水噴霧試験、キャス試験、複合サイクル試験等がある。特に中性塩水噴霧試験においては、もっとも一般的な耐食性試験としてよく利用されている。これら3種類の耐食性試験について、長野県精密工業試験場(現長野県工業技術総合センター 精密・電子技術部門)での利用状況やその結果について報告する。

* 化学チーム
Top
ICPドライエッチング装置による石英回折格子の微細加工
三沢雅芳* 米久保 荘** 原澤唯史***

 分布定数帰還 (DFB) 型有機発光素子(OLED)に用いる石英回折格子の作製を目的とし、誘導結合型プラズマ(ICP)ドライエッチング装置を用いて石英の微細加工法の検討を行った。その結果、ライン間隔が340nmの微細パターンを、3nm/sの安定なエッチング速度でかつ、エッチング面が平坦となる微細加工ができた。

* 電子チーム
** 化学チーム
*** 測定チーム
Top
プランジャ型電磁石のヨーク形状による磁気吸引力変化解析
三沢雅芳* 原澤唯史**

 オープンフレーム角型のプランジャ型電磁石について、プランジャに働く磁気吸引力の磁場解析を行った。ヨークの形状を表す変数は、プランジャをガイドする面の縦横比、ヨーク曲げ部の形状、ヨーク磁路途中に設置させた百分の1ミリメートルオーダのギャップの長さである。解析の結果、ヨーク曲げ部の形状による磁気吸引力の変化は小さく、ガイド面の縦横比及びヨーク磁路途中の磁気的なギャップの長さによる変化が大きいことが示された。

* 電子チーム
** 測定チーム
Top
計測器管理システムの開発
輕部俊幸* 松沢草介* 花岡健一*

 汎用のデータベースソフトウェアを利用して、計測器を管理するソフトウェアを開発した。企 業で使用している計測器の管理を台帳で行い、その台帳の中では校正試験、修理等の履歴も管理 する。検索・抽出機能を備え、一例として当月の校正試験機器対象リストを作成することができ る。製造現場では計測器の管理は品質管理体制の一環として重要な作業であり、開発したシステ ムは計測器管理にかかる作業時間の短縮に貢献するツールである。

* 電子チーム
Top
《抄録》
次世代材料加工情報デジタル化技術の開発
小口京吾* 新井亮一** 小林耕治*

 チタン、コバール、インコネルなどの次世代材料は、材料としての機能が優先されるため、加工の 容易性は二の次にならざるを得ない上に、材料そのものの歴史も浅く加工技術が確立されていない。 このため、多くの企業が、独自の研究や調査、地域での研究会活動を行っているが、思うような成果 が得られていない。このような問題を解決するため、実際に地域企業が問題としている次世代材料加 工を対象に、最適加工条件を迅速に提供するための装置を開発した。切削力、切削点温度、仕上げ面 粗さ、工具刃先画像、被削材直径等、複数のセンサをNC旋盤上に搭載し、自動的に切削試験を行う ことで、短時間に大量の情報をデジタル化して分析できるため最適な加工条件を迅速に決定できる。

長野県精密工業試験場 次世代材料加工情報デジタル化技術の開発 研究成果報告

* 加工チーム
** 商工部産業技術支援課
Top
Effect of Poling Field on Piezoelectric Properties of KNbO3 Crystal Grown by Vertical Bridgman Method
Kenichi KUDO*, Kenji KAKIUCHI*, Naoyuki ENDO**, Noriko BAMBA**, Keigo HOSHIKAWA***, Tatsuo FUKAMI***

 Single crystals of KNbO3 were grown by the vertical Bridgman method. The crystals were cut into 6×3×0.5 mm3 plates, and dielectric constants and resonance characteristics were observed as a function of the electric field strength used in the poling treatment. For the [001]pc-poled crystal, which stands for [001] direction in pseudocubic crystal lattice, the dielectric constant increased once with increasing amount of poling field and then decreased again with higher fields. For [101]pc-poled crystal, both a reduction in dielectric constant and a higher phase angle shift in the resonant region were observed when the electric field exceeded 85 V/mm. The series of observations can be consistently interpreted using the domain structures estimated from the anisotropic dielectric constant. The vibrators having their longitudinal directions along the apc and bpc axes showed quite different piezoelectric responses, revealing that the polarization vector lies only in the [101]pc and [101]pc directions.

Japanese Journal of Applied Physics, Vol.43, No.9B, pp.6701-6705, September 2004

* Electronics Team
** Faculty of Engineering, Shinshu University
*** Faculty of Education, Shinshu University
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(H17.10)

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