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平成14年度 長野県精密工業試験場研究報告  No.16 2003-8

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  《論文》
小型・複雑形状部品の保持に関する研究
DVD光ピックアップ用新光学素子の開発 − 超精密微細加工金型の製作 −
切削工具の刃先状態センシングシステムの試作(第1報) − 実験装置の製作と検証 −
マイクロ波を用いた移動体位置検知手法の開発
24GHzDRO直交検波センサモジュールの開発
保護接地抵抗試験装置校正法の確立
《資料》
ICチップ方向判定装置の開発
耐候性試験後の高分子の劣化評価
人工ゼオライトの合成に関する研究(第2報) − 石炭灰中ムライト・石英・ガラスの定量方法の検討 −
ホスフィン酸浴を用いたニッケル−リンめっき膜のリン濃度制御に関する研究
ニオブ酸カリウム結晶のAFMとKFMによる観察
電流平衡型半ブリッジを用いた高抵抗の測定
チタン−ホウ素−窒素(Ti-B-N)スパッタ膜の作製
残留磁気による吸引力評価モデル
水晶三脚音さ共振子を用いた水平横置き型1軸角速度センサ
X線光電子分光法の深さ方向分析における良好な深さ分解能を得るための装置の調整
《抄録》
Plasma Copolymerization of Acrylic Acid with Hexamethyldisilazane
Round Robin Test for Depth Profiling of SiO2/Si Multilayer
石英ガラスの帯電・絶縁特性

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研究抄録

《論文》
小型・複雑形状部品の保持に関する研究
尾坂 一*

マイクロマシンに代表されるように最近の機器の構成部品は小さく複雑な形状になってきた。微細部分の形状を測定する機器も光を用いた技術が取り入れられている。そのなかで小さな部品を保持する技術についての研究を行った。保持の概念を提示し、磁石による保持方法を中心にして、スチールボール、金属とを組み合わせて、測定実験を行った。その結果、様々な測定サンプルに対応できる保持の方法を提案することできた。

* 測定部
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DVD光ピックアップ用新光学素子の開発 − 超精密微細加工金型の製作 −
河部 繁*  林 賢一** 武田 正*** 輿石 弘**** 小松保雄****

 DVDプレーヤの光ピックアップに用いる光学素子を、微細加工した金型により射出成型で製作した。この素子は、DVD用レーザ光を直進させ、CD用レーザ光の進行方向を曲げる微細階段形状を持った回折素子であり、計6段からなる階段の寸法は各段差1.255μm±0.02μmと、非常に高い精度が要求されている。そこで、超精密マイクロ加工機を用い、金型加工に対する最適加工条件を見出す実験を行い、その条件を基に加工を行った。その結果、仕様を満足する金型の開発に成功し、この金型を用いた射出成型により超精密光学素子を開発できた。加工精度は、半導体製造プロセス技術で製作した素子に比べて飛躍的に向上し、高精度・高品質・低価格化を達成した。
 [共同研究、集積活性化推進研究]]
 [機械設計(日刊工業新聞社 Vol.46,No.10)、且O協精機製作所技報(Vol.12,No.1)にて一部発表]

* 加工部
** 且O協精機製作所MEPプロジェクト  *** 且O協精機製作所技術本部海外事業第2技術部
**** 日新工機褐機事業部PL生産部
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切削工具の刃先状態センシングシステムの試作(第1報) − 実験装置の製作と検証 −
小林耕治*  横道正和*

 切削工具の刃先を工具顕微鏡で高倍率に観察すると、被写界深度が浅いため、全面にピントが合わない。さらに、チッピングや構成刃先を調べる際には、工具刃先の三次元形状データが必要になる。そこで本研究では、焦点位置を変えながら撮像した複数の画像から、全面にピントが合った画像と三次元形状データを同時に取得する実験装置を製作し、それにより工具刃先の観察を行った。また、その観察結果を、既存の干渉型表面形状測定装置およびレーザ顕微鏡による観察結果と比較し、同様の形状が得られる事を確認した。

* 加工部
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マイクロ波を用いた移動体位置検知手法の開発
宮下純一* 三澤雅芳** 蜜沢雅之* 垣内健児* 黒河内靖子** 山本富康*** 林 正和***
和田光章*** 五明公寛*** 下平和彦**** 橋本和彦**** 荒井郁男***** 丸山久友*

 移動体を検知するマイクロ波ドップラセンサを応用し、人の位置をセンシングする手法について検討を行った。小型な1枚のプリント基板上に送信アンテナと複数の受信アンテナを構成し、受信アンテナ間の位相差から移動体の位置を特定する。ここでは、送受信アンテナ間の直接カップリングと移動体からの反射波の合成を直接検波する簡易な方法を考案した。屋内用10.5GHzを用い、センサを試作し位置検知を試みた。その結果、天井に付けたセンサにより人の大まかな位置検知ができること、また、静止した人の呼吸による動きを検知する感度を有することが確認できた。
 [平成13年度即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業]

* 電子部 ** 半導体部
*** 長野工業株式会社 **** 株式会社創研 ***** 電気通信大学電子工学科
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24GHzDRO直交検波センサモジュールの開発
蜜澤雅之* 宮下純一* 垣内健児* 三澤雅芳** 黒河内靖子** 山本富康*** 
林正和*** 和田光章*** 五明公寛*** 下平和彦**** 橋本和彦**** 荒井邦男***** 丸山久友*

 平成13年度の電波法改正によって、10.5GHz(屋内限定)及び24.2GHzのマイクロ波は無免許で使用可能となり、今後は医療、防犯、福祉等、多分野への活用が期待されている。この分野へ新規参入する足がかりとして、地元企業と共同で汎用FETを用いた24GHz誘電体共振発振回路(Dielectric Resonance Oscillator:DRO)と移動体の検出及び移動方向の検出が可能な直交検波回路を同一プリント基板に組み込んだドップラセンサモジュールの開発を行った。その結果、検出感度等でガンダイオードを用いた既存センサモジュールと同等性能品を完成させた。
 [平成13年度即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業]

* 電子部 ** 半導体部
*** 長野工業株式会社 **** 株式会社創研 ***** 電気通信大学電子工学科
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保護接地抵抗試験装置校正法の確立
松沢草介* 花岡健一* 清水光夫**

 保護接地抵抗試験は安全性試験項目の一つであり、様々な製品に義務づけられている。近年、この試験を実施するための保護接地抵抗試験装置が普及し、同装置についての校正の要望が高まっている。しかしながら、校正試験は通電電流25 Aにおける0.2 Ω程度の抵抗測定に相当し、一般的な実負荷による校正試験は困難である。その対策として、虚負荷法による校正を検討し、実用化するための装置を開発した。校正方法の妥当性を評価するため、現在用いられている保護接地抵抗試験装置について、開発した虚負荷法による校正試験と実負荷法による校正試験を実施した。両者による校正値は、指示値0.2 Ωの校正において保護接地抵抗試験装置の最小分解能0.001 Ωで一致し、開発した虚負荷法による校正の妥当性が確認された。

* 電子部
** 日置エンジニアリングサービス潟Tービス課
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《資料》
ICチップ方向判定装置の開発
横道正和* 小林耕治* 佐藤尊史**

 ICチップ搬送トレイ上に整列された多数のチップ中から、向きが誤っているものを画像処理によって検出する装置を開発した。コストとタクトタイムを抑えるため、多数のICチップを載せた搬送トレイ全体を一画面として撮像して検査を行う方式とした。微細で低コントラストなICパターン像からでも向きが検出できる方法を検討し装置化した。また、多品種小ロット短納期の生産体制にも実用的に対応可能なシステムとした。
[共同研究]

* 加工部  ** 高島産業株式会社開発部
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耐候性試験後の高分子の劣化評価
藤沢 健*

 耐候性試験後のABS樹脂及びポリプロピレンの劣化に伴う特性変化を示差走査熱量計、赤外分光分析装置及びガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて調べた。その結果、示差走査熱量分析ではポリプロピレン、赤外分析ではABS樹脂、300℃熱脱着物質のガスクロマトグラフ質量分析ではABS樹脂、ポリプロピレンの両者に変化が確認された。

* 化学部
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人工ゼオライトの合成に関する研究(第2報) − 石炭灰中ムライト・石英・ガラスの定量方法の検討 −
曽根原浩幸* 成田 博* 春名淳介**

 人工ゼオライト合成用石炭灰中のムライト、石英、ガラスの定量について、同三成分の塩酸、水酸化ナトリウム水溶液に対する溶解性の違いを用いた定量方法を適用して、ムライト、石英、特定組成のAl2O3-SiO2-CaO系ガラスを混合した擬似石炭灰中の同三成分を分別して定量することができた。Al2O3-SiO2-CaO系及びAl2O3-SiO2-CaO-Na2O系の種々の組成のガラスに関して、組成の違いにより、塩酸に対する溶解性が異なることを確認した。前述の定量方法は、塩酸に対する溶解性が異なる種々の組成のガラスを含有する石炭灰に対しては適用できないことが判明したので、より広範囲の組成をもったガラスを含有する石炭灰に対しても同三成分を分別して定量できる方法に改良した。
[受託研究]]

* 化学部
** 有限会社大誠技研
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ホスフィン酸浴を用いたニッケル−リンめっき膜のリン濃度制御に関する研究
高根直人*  成田 博*

 ニッケル−リンめっき膜は、リン濃度に応じて物性が大幅に変化する事が知られており、一浴から多様なリン濃度を得る方法としては、ホスホン酸(H3PO3)浴を用いた電析法が知られている。今回、新たな試みとして、無電解めっき浴であるホスフィン酸(H3PO2)浴に電気めっき操作を導入する事により、還元析出反応と電解析出反応を併用した一浴法めっき成膜を試みた。この結果、電流投入の有無により異なる組成を持つニッケル−リンめっき膜が得られる事を見出した。また、電流投入時に得られる膜について、浴の老化に伴う微細構造の変化が見られた。

* 化学部
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ニオブ酸カリウム結晶のAFMとKFMによる観察
垣内健児* 工藤賢一*

溶媒移動浮遊帯溶融法(TSFZ法)で育成したニオブ酸カリウム結晶のドメイン構造を解析するため、真空中で原子間力顕微鏡とケルビン力顕微鏡による観察を行った。試料温度を室温と250℃に変化させて観察した結果、250℃においてドメイン構造を反映していると考えられる表面電位像が得られた。また、室温と250℃の表面電位像を比較することで、約250℃において相転移に伴うドメイン構造の変化が確認できた。

* 電子部
Top
電流平衡型半ブリッジを用いた高抵抗の測定
花岡健一*  松沢草介*

 1010Ωまでの高抵抗は、電圧電流法を用いて±0.1%の精度で測定できる。しかし、1010Ωより1桁大きい1011Ωを電圧電流法で測定すると、測定器の入力抵抗、入力オフセット電流が測定値に数%の影響を与える。そこで、1010Ωを標準として、電流平衡型半ブリッジを用いて1桁ずつレンジ拡大をおこない1013Ωまでの高抵抗を測定した。1013Ωの測定値と他機関の校正値を比較した偏差は、±0.2%以内であった。電流平衡型半ブリッジ法より、1013Ωを±1%以内の精度で測定することができた。

* 電子部
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チタン−ホウ素−窒素(Ti-B-N)スパッタ膜の作製
三沢雅芳*  黒河内靖子*

 拡散防止効果が期待されるチタン−ホウ素−窒素(Ti-B-N)膜を、チタンと窒化ホウ素ターゲットを用いた二元同時スパッタ法により作製し、X線回折等の評価を行った。その結果、X線回折パターンでは、ホウ素量の増加により微結晶化される傾向が見られた。スパッタガスに窒素ガスを添加した場合には、窒化チタンの回折ピーク位置が同じであった。膜断面構造ではホウ素量の増加により柱状から粒子状へ変化する傾向が見られ、アモルファス状態でも粒子構造が観察された。また、シリコンウェハ上への銅膜形成時の拡散防止膜としての評価を行った結果、窒化チタン多結晶を含む膜で拡散防止効果が確認された。

* 半導体部
Top
残留磁気による吸引力評価モデル
三沢雅芳* 原澤唯史*

  電磁リレーでは、鉄心材料の磁化特性における残留磁気により、ソレノイドコイルの電流遮断後もリレー接点が鉄心側に吸着されたままの動作不良を起こす場合がある。このような残留磁気による吸引力を磁場解析ソフトにより評価するため、鉄心モデルを考案して吸引力評価モデルを作成し解析を行った。その結果、鉄心に保磁力を含む磁化特性曲線がシミュレーション上で設定可能となった。また、保磁力の増加により残留磁気による吸引力が激増することが示された。
[集積活性化推進研究]]

* 半導体部
Top
水晶三脚音さ共振子を用いた水平横置き型1軸角速度センサ
米久保荘* 岡田恵也** 小板橋竜雄*** 黒河内靖子* 三沢雅芳*

平成13年度(補正予算)地域新生コンソーシアム研究開発事業「高齢化社会における腕時計型センサを用いた健康・安心システム」の一環として、腕時計型ウェアブルセンサの構成要素の一つである角速度センサの小型化について、水晶三脚音さ共振子を用いた水平横置き型1軸角速度センサに関して検討した。その結果、パッケージサイズ13.3×6.5×1.8mmに入る水晶三脚音さ共振子を用いた角速度センサが開発でき、センサ素子のZ軸回りの角速度に対する感度は、0.61mV/(deg/sec)で、非直線性は0.7%であった。Z軸回りの角速度に対する他軸感度は、X軸回りの角速度に対して1.1%、Y軸回りの角速度に対して1.6%であった。また、-5℃〜75℃の温度範囲において、感度の温度変化率は、-6〜+5%と良好であった。
[平成13年度(補正予算)地域新生コンソーシアム研究開発事業として委託を受けた(財)長野県中小企業振興公社からの再委託業務として、長野県精密工業試験場、マイクロストーン梶A長野県工業試験場が実施]

* 半導体部
** マイクロストーン梶@ *** 長野県工業試験場製品科学部
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X線光電子分光法の深さ方向分析における良好な深さ分解能を得るための装置の調整
米久保荘*

X線光電子分光法による深さ方向分析において、層状の標準物質を用いて装置を調整することが求められている。産業技術連携推進会議知的基盤部会分析分科会において実施したSiO2/Si多層膜の深さ方向分析の共同分析と、その結果をふまえたイオン銃等の装置の再調整を行った後の、同様な深さ方向分析について、深さ分解能、スパッタエッチング痕の形状について評価した。その結果、装置を最適に調整することが可能となり、それにより良好な深さ分解能が得られることが分かった。

* 半導体部
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《抄録》
Plasma Copolymerization of Acrylic Acid with Hexamethyldisilazane
広津敏博* 田垣千英** Ashton PARTRIDGE***

 Polymerization of acrylic acid with hexamethyldisilazane(HMSZ) was carried out in a mixture by use of pulsed and continuous wave plasmas. The polymer deposition rate and the chemical strucures of product films were investigated with regard to the power effects of the plasmas. A copolymer-like structure was formed in general, but the products were not neccessarily composed of the simple agglomeration of the polymer components. The power consumed in plasma polymerization influenced the chemical strucure, and oxcide in the form of Si-O, was produced more densely in the polymers at higher rather than lower powers. The polymer structure was related to the chemical properties,and the surface wetting was also changed by the power used in the plasma copolymerization. The films were moderately hydrophilic in the polymers produced at lower wattages, but became as hydrophobic as those from HMSZ when prepared at high wattages.

Plasmas and Polymers, Vol.7, No.4, pp.353-366, December 2002

*独立行政法人産業技術総合研究所 **化学部 ***Industrial Research Ltd.
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Round Robin Test for Depth Profiling of SiO2/Si Multilayer
小島勇夫* 東康史* Junhua XU* 斎藤隆之** 米久保荘*** 下里直子****

Depth resolution of ion-sputter depth profiling are strongly effected by the instrumental conditions such as ion-beam alignment, size of ion scanning area, etc. JIS K 0146:2002 (ISO14606:2000) requests to use layered materials to carry out an appropriate instrumental adjustment for depth profiling by AES (Auger Electron Spectroscopy), XPS (X-ray Photoelectron Spectroscopy). In the present study, a round robin test was carried out in order to check how operators are able to use the reference materials. SiO2/Si multilayer films with 5 layers and nominal thickness of 20 nm for each layer were employed. After depth profiling, the sputter crater of each sample was measured by using a three dimensional surface profiler. The depth resolution of sputter depth profiling is discussed in relation to the micro surface roughness of the analyzed area.

ANALYTICAL SCIENCES, Vol. 18, No.12, pp.1395-1398, December 2002

*独立行政法人産業技術総合研究所 **北海道立工業試験場 ***半導体部 ****長野県工業試験場
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石英ガラスの帯電・絶縁特性
山本修* 永田悟* 福田正樹* 原澤唯史** 宅間董***

We have studied the charging and flashover characteristics that depend on quartz thickness and average roughness of the side surface. The thickness is varied from 0.3 mm, which is close to that of practical cover glasses, to 10 mm, and the roughness from 0.03 μm up to 3 μm. As a result, we have found that the flashover strength for the smoothest surface shows a pronounced increase as the thickness decreases bellow 3 mm. The flashover strength also increases with the roughness in particular when it is larger than about 2 μm. The charging has been observed by using a capacitive probe embedded into the cathode and the results are analyzed by a simulation based on the Secondary Electron Emission Avalanche mechanism. The observed and simulated results very well agree with each other for the variety of thicknesses examined. The accumulated charge decreases with the roughness and, at a certain level of the applied voltage, the surface no more acquires charge for an average roughness larger than about 2 μm.

電気学会論文誌A 123巻 5号 pp.429-435(2003)

*京都大大学院工学研究科 **半導体部 ***電力中央研究所
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(H15.09)

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