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平成11年度 長野県精密工業試験場研究報告  No.13 2000-8

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《諏訪地域コンソーシアム研究開発事業》
解説 地域コンソーシアム研究開発事業 −マイクロ三次元加工技術による医療機器用スーパーデバイスの開発−
論文 微少流量センサシステムの開発
論文 ジェットモールディング法によるチタン酸ジルコン酸鉛膜の形成(第2報)
資料 ジェットモールディング法による金バンプの形成と配線描画 
資料 厚膜フォトレジストによる微細構造体
  
《論文》
アクティブ画像処理技術に関する研究(第2報) −三次元複雑形状センシング装置の開発−
ポータブル寸法計測装置の精度向上に関する研究
高温試験におけるプリント配線板反り変形の実測
多層プリント基板における電源−グラウンド層間の共振の解析
電界電子放出型サージ吸収素子の開発
局所加熱微細押出し加工(第2報)
品質工学を用いたX線応力測定条件の最適化
蛍光X線分析装置の応用に関する研究 −ポリフェニレンスルフィドの熱劣化状態解析−
反応性スパッタ法による窒化アルミニウム系薄膜形成
アルカリ浸漬脱脂での脱脂要因と効果
  
《資料》
水系スラリーを用いたテープ成型品の評価
比較恒温槽を用いた温度計校正の不確かさの評価
電気計測器の校正方法 −耐電圧試験器の遮断電流、絶縁抵抗計の測定端子電圧−
加熱電子部品の熱応力と締め付けトルクの解析
反射電子エネルギー損失分光法(REELS)による炭素薄膜の分析 
 
《抄録》
熱膨張係数の異なる材料における陽極接合の可能性
Formation of β-SiC Thin Layers by Implantation of Carbon Ions into Silicon Using MEVVA Ion Source

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研究抄録

《諏訪地域コンソーシアム研究開発事業》
解説 地域コンソーシアム研究開発事業 −マイクロ三次元加工技術による医療機器用スーパーデバイスの開発−
小松広之 

 地域コンソーシアム研究開発事業(平成9〜11年度)が、小型携帯医療機器用スーパーデバイスとして10種類余のデバイスの開発と、この開発デバイスを用いた携帯薬液持続注入器を開発して終了した。そこで、本事業の概要と研究開発成果の概要について解説する。
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論文 微少流量センサシステムの開発
小口京吾 

 地域コンソーシアム研究開発事業「マイクロ三次元加工技術による医療機器用スーパーデバイスの開発」の一環として、1μL以下の微少流量を測定できる超小型・低消費電力の流量センサシステムを開発した。システムは、センサ素子、検出回路、流量算出プログラムから構成されるが、これらを協調して動作させることで、寸法・検出精度・消費電力を最適化した。開発の結果は、センサ部分が直径が3mmで厚さが0.26mm、測定回路部分の面積が約2cm2、消費電力が約15mWである。流量算出には32bitの固定小数点乗除算が必要なため、乗除算命令を持つワンチップマイコンを使用した。
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論文 ジェットモールディング法によるチタン酸ジルコン酸鉛膜の形成(第2報)
成田 博  新井亮一  米久保 荘 

 チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)仮焼粉末を用い、ジェットモールディング法により、通常のセラミックス焼成に比べ低温にて、緻密で強固なPZT膜を形成した。700℃にて形成したPZT膜は、測定周波数10kHzにて、比誘電率840、誘電正接0.04の誘電特性を示した。また、500℃にて形成し700℃で熱処理したPZT膜は、残留分極10μC/cm2、抗電界80kV/cmという強誘電ヒステリシス特性を示した。更に、200℃にてステンレス基板に形成したバイモルフ型PZT振動板を350℃で5時間熱処理した時、200Vで1.5μmの変位を確認した。
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資料 ジェットモールディング法による金バンプの形成と配線描画
新井亮一  米久保 荘  成田 博 

 ジェットモールディング法を用いた金微粒子のバンプ状構造物形成および金による配線描画について実験、検討した。その結果、わずかな堆積時間で金バンプを形成することができ、ボンディングした際の強度も得ることができた。また、金蒸着膜に配線描画したところ、結線された部位は導通が確認できた。
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資料 厚膜フォトレジストによる微細構造体
米久保 荘  池田博通 

 厚膜フォトレジスト(SU-8)によるハイアスペクト形状を持つ微細構造体の作製について検討した。その結果、マイクロモータ用減速機に用いる遊星歯車(厚さ0.5mm,モジュール0.0672、歯数18)の形状を持つ厚膜フォトレジストによる構造体が作製できた。また、厚膜フォトレジストを用いて電鋳用の型を作製しニッケル電鋳により、同様の形状を持つニッケル構造体が作製できた。
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《論文》
アクティブ画像処理技術に関する研究(第2報) −三次元複雑形状センシング装置の開発−
横道正和

 物体の三次元形状を非接触でセンシングする装置を開発した。形状センサである測定ヘッドにはレーザスキャン方式の三次元形状センシングデバイスを用いた。対象の全体形状を捉えるために、測定ヘッドをロボットに持たせて位置や姿勢を変更可能とし、また対象もXYθテーブルにより移動可能として観測の自由度を高めた。形状を死角なく、またオペレーションフリーで捉えられるように、センシング中の対象形状によって自動的にロボットやXYθテーブルを最適制御する手法と、多方向からのセンシングデータを高精度に合成する手法を開発した。
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ポータブル寸法計測装置の精度向上に関する研究
尾坂 一

 昨年デジタルカメラとテレセントリックレンズを使用した画像入力装置を開発した。その装置を用い画像計測における問題点を洗い出し、位置合わせ、画像圧縮、レンズの歪み、照明について測定に与える影響を調べるための実験を行った。その結果、条件の相違による撮影時の留意点、ばらつきの大小が把握でき、安定した結果を得る測定技術を習得できた。
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高温試験におけるプリント配線板反り変形の実測
花岡健一  田口宗治

 プリント配線板などの板状の材料を高温にさらすと、変形あるいは反りが生じる。高温での変形量の測定は、使用するセンサの耐熱性や熱膨張など配慮すべき点が多く、目視による観察に頼らざるを得ない。ここでは、耐熱光ファイバを用いて、変形量を光学的に測定する装置を試作した。ガラスエポキシ基板を使った実験では、変形の仕方は、主に断面構造に影響され、工程温度あるいは置き方によっても変化することを確認した。
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多層プリント基板における電源−グラウンド層間の共振の解析
輕部俊幸  蜜澤雅之   宮下純一

 多層プリント基板の電源層とグラウンド層間の共振について市販の高周波電磁界シミュレータを用いて解析を行った。その結果、共振周波数は誘電体の厚みには影響されず基本的に電源層とグラウンド層の対向する部分の面の長さと幅に依存し、励振点の位置によっては共振が起こらないモードがあることが解った。また、共振は電源層とグラウンド層間の直接的な励振のみならず信号線路からの間接的な励振によっても引き起こされることが確認できた。
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電界電子放出型サージ吸収素子の開発
三沢雅芳  米久保 荘

 電子源に高電界が加わると電子が放出される電界電子放出効果において、特に高真空中におかれた微小な電子源から放出される電子の移動高速性に注目して、サージ吸収素子としての応用を試みた。サージ吸収素子における重要な要素である吸収特性、サージ印加寿命について評価を行った結果、従来のサージ吸収素子以上の性能を持ち、繰り返し寿命試験についても10000回まで安定に動作することを確認した。実用化の検討を行い、2012型(2.0×1.2mm)と
1608型(1.6×0.8mm)の小型で、高速なサージ吸収特性を有し、長寿命である新規なサージ吸収素子を開発した。
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局所加熱微細押出し加工(第2報)
山岸 光  池田博通

 YAGレーザによる局所加熱押出し金型を製作し、SUS304、A2017、C1020の3種類の素材に対して、直径0.5mmの軸と直径0.2mmの星形形状の押出し加工を行い、その成形性について検討した。その結果、材質により特性は異なるが、レーザを照射することによって押出し荷重が下がり、押出し高さが増加することを確認できた。
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品質工学を用いたX線応力測定条件の最適化
増田雪也

 超硬合金を加工する際に発生する残留応力は、疲労強度などの破壊現象に影響を与える。その破壊現象を解明するためには、残留応力を高精度に評価する必要がある。しかし、その測定条件は測定者の経験により設定されており、測定条件を変化させた時、測定値にどのような影響を与えるかについて検討されていない。そこで本研究では、品質工学を用いて超硬合金のX線応力測定における最適測定条件を検討した。その結果、各因子が測定精度に与える影響を明らかにすることができた。これにより、測定のばらつきを1/1.3にすることができた。
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蛍光X線分析装置の応用に関する研究 −ポリフェニレンスルフィドの熱劣化状態解析−
宇敷澄子  藤沢 健  田垣千英

 元素分析機器である蛍光X線分析装置を用いて、ポリフェニレンスルフィド(PPS)の熱による劣化を解析した。酸素のX線強度の増加により劣化の進行を確認できた。劣化機構を解明するため、併せて熱特性分析・ガスクロマトグラフ質量分析・赤外分光分析を行い、構造上の変化を解析したところ連続使用温度内では、ほとんど構造変化は起きていないが、240℃ではPPSへの酸化が起きていることが確認できた。
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反応性スパッタ法による窒化アルミニウム系薄膜形成
黒河内靖子  三沢雅芳

 耐酸化性が高く、高体積抵抗率(ρ)、低抵抗温度係数(TCR)を示す抵抗膜材料開発を目的とし、アルミニウムとチタンまたはタンタルのターゲットを用い、反応性ガスに窒素ガスを用いた二元同時反応性スパッタ法により窒化アルミニウム系薄膜を作製し、その特性を評価した。その結果、窒化アルミニウムチタン膜(Al-Ti-N膜)は、高アルミニウム濃度では、窒素ガス流量比の増加によりρは増加した。TCRはアルミニウム濃度と窒素ガス流量比を共に増加させると正から負へと変化した。特に、アルミニウム濃度が60〜70atm%の範囲で、ρが約250μΩ・cm、TCRが約-10ppm/℃と精密抵抗として良好な膜が再現性良く得られた。また、窒化アルミニウムタンタル膜(Al-Ta-N膜)は、窒素ガス流量比の増加につれてρは増加し、TCRは負に大きくなる傾向が確認された。
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アルカリ浸漬脱脂での脱脂要因と効果
須山 聰

 脱脂の進行を各種の物理ファクタによる式で表すことを目指し、特にrが2μm 程度となる脱脂液での脱脂中盤以降について、誘導式や次元解析を参考に検討した結果、脱脂の進行を次式で表すことができた。定数Cは、
NHASでは0.64であった。
 T/r= C・F(C/Omax)・[Teη/{V^t(d-d)^}]^0.7〜1.0
 F(C/Omax)=1+0.5(CV/Omax){1-exp(T−371)}
 Omax=3.3{V^1.6/(372-T)}+0.5
 式は、rが2μm 程度となる界面活性剤を用いる脱脂液に適用できるが、定数や限界油分濃度Omaxは界面活性剤によって異なると思われる。温度やかくはん速度は、特にOmaxを著しく変化させた。低温、低かくはん速度ではOmaxは小さく、少量の油分混入で脱脂は妨害を受けた。
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《資料》
水系スラリーを用いたテープ成型品の評価
垣内健児 

 環境負荷の小さい水系スラリーを用いてドクターブレード法によってテープ成形品を作製した。スラリーは遊星式ボールミルと高速回転ミキサを使用して、それぞれの条件で調整したものを用いた。これらの成形品を評価したところ、表面状態の走査型電子顕微鏡観察から高速回転ミキサによる脱泡は不十分で、30μm程度の穴が残ることがわかった。また原子間力顕微鏡観察及び観察面内から求めた表面粗さによって、グリーンシート、脱脂後のシート表面状態及び脱脂による変化分を定量的に評価することができた。
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比較恒温槽を用いた温度計校正の不確かさの評価
上条和之 

 計測において、その結果がどの程度の不確かさを含むかを考慮する必要がある。そこで、恒温槽を用いた比較法によるガラス製温度計の校正についての不確かさの評価を行った。不確かさ成分について検討し、各要因についての合成標準不確かさを求めた。その結果、拡張不確かさ(K=2)は、温度範囲が100〜200℃(油温槽)のとき
±0.118℃、温度範囲が-50〜-10℃(低温槽)のとき±0.141℃であり、恒温槽の性能に大きく依存することを確認した。
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電気計測器の校正方法 −耐電圧試験器の遮断電流、絶縁抵抗計の測定端子電圧−
花岡健一  松沢草介  宮下純一 

 交流耐電圧試験器の遮断電流を校正する可変抵抗回路、絶縁抵抗計の測定端子電圧を校正する抵抗分圧器を試作した。耐電圧試験器の遮断電流は、試験電圧を一定にした状態で、負荷抵抗を可変させ、遮断する直前の電流を読むことにした。試作した可変抵抗回路を使った場合、10回の繰り返しをおこなったばらつきは、遮断電流の設定値に対して2%程度であった。絶縁抵抗の測定端子電圧は、全抵抗が指示値となる分圧比1/1000程度の抵抗分圧器を使い、その出力を入力抵抗の高い電圧計で測定することで試験できる。抵抗器の選択と使い方に注意すれば、差動電圧計により差動測定した場合とほぼ同じレベルで測定端子電圧を校正できることを確認できた。
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加熱電子部品の熱応力と締め付けトルクの解析
田口宗治 

 セラミックス碍子とステンレス電極からなるヒーター用端子が使用時に破壊するというトラブルが技術相談で持ち込まれた。端子部の温度は700℃に達しており、破壊の主要因として碍子と電極の熱膨張率差に起因する熱応力が考えられた。部品寸法や取り付けの状態を考慮して接触面の定義方法の異なる解析モデルを作成し熱応力から締め付けトルクの許容値を推定した。
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反射電子エネルギー損失分光法(REELS)による炭素薄膜の分析 
米久保 荘 

 マイクロ波プラズマCVD法により異なる合成条件で形成した炭素薄膜を、反射電子エネルギー損失分光法
(REELS)により測定した。その結果、炭素薄膜の化学結合状態の違いが評価できた。
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《抄録》
熱膨張係数の異なる材料における陽極接合の可能性
花岡健一 

 シリコンとガラスの陽極接合は、熱膨張係数がほぼ一致していること、接合させる面の表面あらさ、うねりが両者とも小さいことから比較的簡単に寸法精度の高い接合が可能であり、マイクロセンサ等の作製に使われている。センサの取り付け方法は、溶接あるいはねじによるものが多く、ガラスとステンレス合金の接合が可能であれば、適用範囲の拡大が期待できる。そこで、ガラスと耐食性金属のステンレス合金との陽極接合の可能性について検討した。
 ステンレス合金は、熱膨張係数がガラスと比べ1桁大きい。そのため、接合後の熱収縮も大きく、ガラスが割れることが予想される。そこで、接合温度と室温までの冷却時間を考慮して実験をおこなった。ガラスとコバール合金との陽極接合の場合、接合可能な最低温度は、240℃付近であった。この値を参考にして、240℃〜340℃の範囲で実験した。接合条件は、接合温度のみを変化させて、印加電圧は500V、接合時間は10分とした。
 その結果、すべての試料について、接合はするものの、接合後室温までの冷却中に、ステンレス合金のエッジ部分に沿って、ガラスに亀裂が入るという結果になった。熱膨張係数の違いによる接合面の応力の影響は予想以上に大きく、材料選定に関する貴重なデータが得られた。
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Formation of β-SiC Thin Layers by Implantation of Carbon Ions into Silicon Using MEVVA Ion Source
米久保 荘 

 炭化ケイ素 (SiC) は、シリコンと比較して、ワイドバンドギャップ、高熱伝導性、高いブレーク電圧等の、すばらしい物理的、電気的特性を持つ半導体材料として広く知られている。これらの特徴により、SiCを用いて、高温、高出力、高周波数で動作する電子デバイスを作製する研究がなされている。本研究において、シリコンウェハへ炭素イオンを、加速電圧20〜60kV、注入量1×1017〜5×1017で注入することにより埋込SiC層を形成した。炭素イオン注入は、MEVVA(金属蒸気真空アーク)イオン源により行った。注入した炭素イオンの深さ方向の分布は、RBS(ラザフォード後方散乱法)及びXPS(X線光電子分光法)により測定した。その結果、注入した炭素は注入直後でもシリコンと結合していた。アルゴンガス中1000℃、4時間の熱処理により、シリコンウェハのダメージ領域の再結晶化にしたがって、β-SiC相の結晶化が観察された。
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(H13.05)

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