長野県工業技術総合センター
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平成10年度 長野県精密工業試験場研究報告  No.12 1999-8

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《論文》
微細軸の研削加工
局所加熱微細押出し加工
光学式変位センサを用いた三次元測定機用微小接触プローブの試作
エキシマレーザ加工と電鋳による微細加工
ジェットモールディング法によるニッケル構造体
ジェットモールディング法によるチタン酸ジルコン酸鉛膜の形成
小物部品用三次元測定機の開発
アクティブ画像処理技術に関する研究 −ステレオ視法三次元形状センシングの誤差評価−
高分解能リアルタイム回転計の開発
鉛フリーはんだを用いた高密度実装技術に関する研究
電子部品の熱解析システムに関する研究 −熱特性評価装置による熱対策部品の評価−
薄膜応用素子の電位分布解析
Resistance-Temperature Characteristics of Polycrystalline Diamond/Silicon Wafer Structure
 
《資料》
すべり案内の運動精度と案内面の表面粗さの相関
ガラス製温度計による温度計校正の不確かさの評価
電位差計法における極性切り換えスイッチの検討
酸化チタンの高温観察
 
《抄録》
FDTD法を用いたサイトアッテネーションの計算
Deposition and Patterning Technique for Realization of Pb(Zr0.52,Ti0.48)O3 Thick Film Micro Actuator
Microstructure of Sn-Ag alloys electrodeposited from Pyrophosphate-Iodide Solutions
日本における溶接の展望(V−4 マイクロ接合)
電気めっき法によるSn-Ag-Cuはんだバンプの作製

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研究抄録

《論文》
微細軸の研削加工
池田博通  河部 繁  山岸 光  新井亮一

金属の微細軸を加工する手段として研削加工を取り上げ、微細加工限界を追求した。軸の仕上げ形状は機械部品、治工具、金型部品等で要求される段付きとし、直径の微細化だけでなく長さも考慮して高アスペクト比を狙った。まず、工作物送り出し方式の研削加工が原理的に微細軸の加工に適していることを示し、それを実践できる研削盤を導入した。この研削盤を用いて、研削砥石のツルーイング・ドレッシングや加工条件の最適化を図った。その結果、直径1mmの超硬合金素材から直径20μmで長さ10mmすなわちアスペクト比500の軸を所要時間約4分で加工することができるようになった。また、先端部直径50μm、元部直径35μm、中間部直径75μmの中太段付き軸の加工も実現できた。
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局所加熱微細押出し加工
山岸 光  池田博通  河部 繁  新井亮一

 材料を局所的に加熱し鍛造を行う局所加熱鍛造法を提案し、その加熱方法としてレーザを用いたときの加熱性を検討した。材料の温度測定には熱電対を使用し板厚方向の温度分布を測定した。また、シミュレーションにより理論的な温度分布を求めた。その結果、材質により加熱性は異なるが、成形性を向上させるための十分な局所加熱が可能であることが分かった。
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光学式変位センサを用いた三次元測定機用微小接触プローブの試作
花岡健一  若林優治  尾坂 一  丸山六男

 微細加工技術の発達により、部品の小型化、複雑化が進んでいる。これらの微小部品の寸法・形状を三次元的に評価するための微小接触プローブを試作した。十字形薄板の中心に垂直に取り付けた超硬製シャンク(有効長さ2mm,直径1mm)と先端の石英球(φ0.125mm)で接触プローブを構成した。十字形薄板の厚さは0.01mmであり、ワークとの接触による薄板中央部の変形を光学式変位センサにより検出した。呼び寸法1.9mmのリングゲージを測定した結果、内径値の誤差は1μm程度であり、市販されている三次元測定機と同程度の精度が得られた。
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エキシマレーザ加工と電鋳による微細加工
池田博通  新井亮一  米久保 荘  成田 博

 高分子材料、無機材料、金属材料のKrFレーザによる微細加工性を調べた。マスク転写により歯幅80μm、溝幅80μm、長さ600μmの櫛形状を加工した結果、高分子材料は板厚500μmの貫通加工においても良好な形状転写ができたが、他の材料は浅い溝が掘れる程度でデブレやバリが発生した。次に、この形状をアクリルにKrFレーザ加工し、これを型としてニッケル電鋳を行い、櫛状構造体を反転造形することができた。また、KrFレーザにより、絶縁体外径が102μmで導体外径42μmの極細ケーブルの絶縁体ストリップを行った。そして、これらの結果を組み合わせて微細コネクタを試作し、エキシマレーザ加工と電鋳によるマイクロデバイス製作の実例を示した。
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ジェットモールディング法によるニッケル構造体
米久保 荘  成田 博  新井亮一

 ジェットモールディング法を用いたニッケル微細構造体の作製について検討した。微細パターンの作製には、マスク転写法を用いた。その結果、マスク形状を水平方向の形状とした水平方向の最小寸法が30mmのニッケル微細構造体が作製できた。高さ方向の形状は、マスク形状がそのまま成長した構造体ではなく、高さ方向に寸法が小さくなる錐形状を示す構造体であった。
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ジェットモールディング法によるチタン酸ジルコン酸鉛膜の形成
成田 博  新井亮一  米久保 荘

 チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)仮焼粉末を用い、ジェットモールディング法により、室温から500℃の基板温度にて、緻密で強固なPZT膜を形成した。走査型電子顕微鏡観察より、得られた膜の組織は、約0.5μm以下の小さな粒子により構成されていることがわかった。また、500℃にて形成したPZT膜は、測定周波数1MHzにて、比誘電率430、誘電正接0.04の誘電特性を示し、同膜の圧電特性を正弦波100Vp-pの印加による可聴音発振により確認した。
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小物部品用三次元測定機の開発
若林優治  花岡健一  尾坂 一  丸山六男

 近年の微細加工技術の発達にともない、加工される小物部品の寸法測定や形状測定をおこなう要求が高まっているが、その測定技術はまだ確立されていない。そこでこのような小物部品の寸法・形状測定をおこなうための三次元測定機の開発をおこなった。今回、測定機の駆動系の位置決め精度、表示精度、送り真直度を測定し、それぞれの精度を確認した。また、本測定機用に開発、試作した微小プローブを評価するために、ブロックゲージの寸法測定実験をおこなった。プローブの接触方向がX、Y、Z方向いずれの場合も、測定値とブロックゲージの呼び寸法の差は、±1μm以内であった。
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アクティブ画像処理技術に関する研究
   −ステレオ視法三次元形状センシングの誤差評価−
横道正和

 物体の三次元形状を非接触でセンシングする手法にステレオ視法がある。このステレオ視法を使う場合、対象物体のサイズや望んでいる測定分解能と、二台のカメラの位置やレンズの焦点距離などの関係にわかりにくい部分があった。そこでこれらのパラメータの関係を整理し、最適なカメラ間距離の決定方法を示した。また最適状態での奥行き方向の理論的誤差と実際の誤差の基礎的評価を行った。
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高分解能リアルタイム回転計の開発
小口京吾

 加工によって消費されるエネルギーは、ワークに作用する力と、主軸の回転数から算出することができる。このためには、力を測定するロードセルと、回転数を測定する回転計が必要であるが、通常の回転計は、ロードセルの分解能と応答速度に対応できない。そこで、応答速度と分解能を改善するために、回転の周期を測定して回転数を計算する回転計を開発した。この方式は、一定時間内の回転回数を直接測定する一般の方式に比べ、分解能が高く応答性がよい。また、小型のワンチップマイコンを利用したことで、小型(名詞サイズ)で安価な装置とすることができた。
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鉛フリーはんだを用いた高密度実装技術に関する研究
田垣千英  小池明夫  新井 進  小野道彦

 鉛フリーはんだめっきをしたチップ抵抗器を作成し、リフロー炉による基板への接合を行い、その接合強度を検討した。その結果、スズ−鉛めっきは、リフロー条件の雰囲気による接合強度の低下は小さい。鉛フリーめっきとして検討したスズー銀、スズービスマスめっきは、大気雰囲気では表面酸化が生じ接合強度が極端に低いが、窒素雰囲気では改善された。しかし、スズー鉛めっきに比べそのスズー鉛リフロー条件での接合強度は低いことがわかった。
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電子部品の熱解析システムに関する研究
  −熱特性評価装置による熱対策部品の評価−
田口宗治  花岡健一

 電子部品、装置等の熱対策技術を支援するために、平成10年度に新たにPCワークステーションによる3次元部品設計情報やプリント配線板設計情報に基づく熱流体解析を中心とする解析装置と熱画像測定装置とからなる熱特性評価装置を導入した。シミュレーションと実測による効率的な発熱対策のための装置の概要とヒートシンクの特性評価への応用について報告する。
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薄膜応用素子の電位分布解析
三沢雅芳  軽部俊幸

 薄膜応用素子特に薄膜抵抗器の電位分布解析を有限要素法により行った。電極形状による電位分布、電界強度分布、電流密度分布を求めたところ、電流集中等の注意すべき箇所を見いだすことができた。抵抗膜と電極膜との積層構造の素子において、素子抵抗値は電極間にある抵抗膜の抵抗値より大きい値を示すことがわかった。この他、抵抗膜の物性値や形状の変化による素子抵抗値の変化を評価することができた。
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Resistance-Temperature Characteristics of Polycrystalline Diamond/Silicon Wafer Structure
米久保 荘

 シリコンウェハ上へ形成したダイヤモンド薄膜からなる層構造を作製し、その抵抗−温度特性について研究した。ダイヤモンド薄膜の形成には、マイクロ波プラズマCVD法を用いた。成膜したダイヤモンド薄膜は、X線回折結果より多結晶薄膜であった。シリコンウェハ上に形成した非ドープダイヤモンド薄膜からなる層構造の電流−電圧特性は、強い温度依存性を示した。サーミスタ定数は、約10,000であった。n型シリコンウェハ上に形成したボロンドープダイヤモンド薄膜からなる層構造の電流−電圧特性は、整流性と強い温度依存性を示した。この構造のサーミスタ定数は約5000であった。
 (Sensors and Materials, Vol.11, pp13-20 (1999) に掲載した論文を潟~ューの許諾を得て転載)
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《資料》
すべり案内の運動精度と案内面の表面粗さの相関
丸山六男  若林優治  尾坂 一

 微小な案内面で構成されるすべり案内機構のモデルを製作し、案内面の表面粗さが案内機構の運動精度に及ぼす影響について検討した。可動側には表面の凹凸の大きさがPV値で2.3μmに調整された試料を用い、固定側には同様の評価値で1.8μm、2.7μmおよび6.2μmの3種類を用いた。運動精度は、ピッチング、ヨーイングを評価対象とした。潤滑状態は、表面粗さの影響を明らかにするため、乾燥摩擦状態とした。
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ガラス製温度計による温度計校正の不確かさの評価
上条和之

計測においては、その結果がどの程度の不確かさを含むかを考慮する必要がある。そこで、水温槽(0〜90℃)における比較測定による温度計の校正についての不確かさの評価を行った。実際の校正方法を考察し、校正方法と校正値との関係を数式によりモデル化することで、不確かさの成分と合成標準不確かさの関係を明らかにした。また、不確かさ成分を検討し、合成標準不確かさを求めた。その結果、拡張不確かさは、±0.066℃(K=2)であった。
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電位差計法における極性切り換えスイッチの検討
花岡健一  松沢草介  田口宗治

 一般的に用いられるレバー式極性切り換えスイッチでは、測定中に接触部分の抵抗値が変化する。特に、分流して測定をおこなっている場合には、測定値に誤差が生じやすい。そこで、スイッチ自体の抵抗値が小さく、測定中の抵抗値が安定なプラグ式極性切り換えスイッチを作製し、電位差計法に適用した。その結果、接触抵抗の変化が抑えられ、理想的な極性切り換えが可能になった。
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酸化チタンの高温観察
米久保 荘  三沢雅芳

 酸化チタン圧粉体及びジェットモールディング法により形成した酸化チタン厚膜を、大気中で熱処理した時の形状の変化を、顕微鏡用加熱装置を用いて高温観察した。その結果、圧粉体の焼結が始まる温度及び焼結状態が観察できた。また、基板上の厚膜に割れが生じるのは、降温中であることが観察できた。
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《抄録》
FDTD法を用いたサイトアッテネーションの計算
蜜澤雅之   輕部俊幸  宮下 純一

 FDTD法(Finite Difference Time Domain method)によるサイトアッテネーションの計算プログラムを作成し、理論CSAとの比較を行った。吸収境界条件にはMurの2次吸収境界条件を用い、計算周波数範囲は30〜300MHzとした。その結果、計算値が収束した時点では吸収境界の反射の影響により、かなりの乖離が存在したが、反射の影響が無い初期時刻では理論とよい一致がみられた。
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Deposition and Patterning Technique for Realization of Pb(Zr0.52,Ti0.48)O3 Thick Film Micro Actuator
米久保 荘

 薄膜PZT (Pb(Zr0.52,Ti0.48)O3) の形成技術は、メモリ応用の分野で大きな進歩を遂げている。一方、比較的厚い膜が必要なMEMSへのPZT膜の応用は、十分には開発されていない。一般的な形成方法では、成膜速度が小さく、また、残留応力により基板よりはがれてしまう。一方では、SiO2/Ti/Pt/PZT多層構造のエッチングレートが小さいという困難もある。PZT厚膜の形成方法として、ゾルゲルによる多層コーディング、エキシマレーザアブレーション (ELAD) 、ジェットモールディング (JMS) を検討した。エッチング方法として、RIE、ECR及び非平面への形成法を検討した。形成したPZT膜の電気的特性は、マイクロアクチュエータを形成して評価した。
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Microstructure of Sn-Ag alloys electrodeposited from Pyrophosphate-Iodide Solutions
新井 進

 ピロリン酸−ヨウ化物浴から電析したSn-Ag合金の構造解析を行った。電析物のモルフォロジーは、膜組成により変化し、Ag含有量20at%付近の組成で最も平滑となった。膜の相構造はβ-Sn相とAg3Sn相の共晶構造であり、電析膜の組成−相図はSn-Ag状態図と一致した。また、TEMによる解析から、電析膜はサブミクロンオーダーの結晶で構成されていることが判明した。
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日本における溶接の展望(V−4 マイクロ接合)
新井 進

 1997年に日本で発表されたマイクロ接合技術に関する文献に基づき、本技術の年間の動向をまとめた。マイクロプロセッサの高速化に伴いマイクロ接合技術が要求され、ミクロな接合機構の解析に基づいた高信頼性接合技術が求められていくと思われる。マイクロソルダリングにおけるはんだの鉛フリー化の要請も高まりつつあり、はんだの鉛フリー化対応の表面処理技術が必要とされていくものと考えられる。フリップチップ接合の実用化が推進され、マイクロバンプ形成技術の開発が進ものと思われる。
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電気めっき法によるSn-Ag-Cuはんだバンプの作製
新井 進

 電気めっき法によるSn-Ag-Cuバンプの作製を行った。新規開発しためっき浴からのめっき条件、膜構造等を検討し、フォトリソグラフを用いてシリコンウエハ基板上にバンプ形成を試みた。電析膜の相構造は、状態図と一致した。定電流モードにより、マッシュルーム型バンプを形成し、ウェットバックより、高さ約120mmのボール型バンプが形成できた。ウェハレベルでもバンプ形成が可能となった。
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(H13.05)

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