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平成8年度 長野県精密工業試験場研究報告  No.10 1997-8

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《論文》
微小深穴加工技術の研究(第2報)  −ドリルの切れ味評価−
微小深穴加工技術の研究(第3報)  −ドリルの適正刃先形状の探索−
微細放電加工による金型製作技術
直流電圧における校正技術の確立に関する研究
砥石切断機の異音(ガラ音)改善の一手法
光学部品のキズ・異物の検出
振動診断技術の開発
熱分解ガスクロマトグラフィーによるニトリルブタジエンゴムのキャラクタリゼーション
デジタル回路のコモンモードノイズ対策に関する研究
チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系高誘電率バリスタの酸化焼成に関する研究
ニッケル・シリコン薄膜の電気特性
 
《資料》
ブロックゲージ光波干渉測定における校正の不確かさの評価
ブロックゲージ比較測定における校正の不確かさの評価
ブロックゲージ光波干渉測定における温度測定の標準不確かさ
パソコンを用いた音圧レベルの表示
化学ニッケルめっき液中の亜鉛イオンの影響
洗浄液の評価技術に関する研究(第2報)
  −蛍光光度計のマッピング測定プログラムの作成と評価−
ポリアセタールのリサイクルに関する研究−各種混合物からの分離特性について
故障解析に見られる傾向と事例
簡易磁場解析システムによる磁性粉の解析
ゾルゲル法による酸化チタン薄膜の合成
 
《抄録》
低温純水中におけるAl−Mg合金表面の酸化膜成長過程
電析したSn−Ag合金の結晶構造と微細組織
電気めっき法によるSn−Agはんだバンプの作製
マイクロ波プラズマCVD法により形成したシリコン薄膜の熱電能

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研究抄録

《論文》
微小深穴加工技術の研究(第2報)  −ドリルの切れ味評価−
河部 繁  池田 博通  山岸 光  新井 亮一

 試作した微小径ドリル加工用動力計から得られるスラスト、トルクを用いて、微小径ドリル(φ0.1mm,φ0.06mm)の刃先の切れ味評価を試みた。加工実験により、摩耗の進行による切れ刃の変化が、スラストおよびトルクの上昇や波形の特徴となって表れることが確認でき、実験的に求めたドリルの折損強度との関係からしきい値が想定でき、ドリルの寿命予測の可能性が認められた。そこで、マシニングセンタなどに取り付けることができる簡易なドリル寿命チェックシステムを提案する。
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微小深穴加工技術の研究(第3報)  −ドリルの適正刃先形状の探索−
新井 亮一  池田 博通  河部 繁  山岸 光

 微小径ドリル加工における切削抵抗を軽減するための加工条件を、品質工学の手法を用いて探索した。直径0.1mmのツイストドリルについて切削抵抗に影響を及ぼすと思われる因子を取り上げて実験した結果、被削材SK3、SUS304ともにねじれ角は小さく、先端角及び逃げ角は大きい値の水準が選択された。
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微細放電加工による金型製作技術
山岸 光  池田 博通  河部 繁  新井 亮一

 1mm以下の任意形状を鍛造する金型を放電加工で製作する技術について検討した。その基礎的な実験として、超硬合金と合金工具鋼(SKD11)に直径0.1mmアスペクト比10の穴加工、および、微小径円柱電極による簡単な2.5次元形状の輪郭加工を試みた。その結果、穴加工の能率は材料に大きく依存し、輪郭加工は微小彫り込みの電極パスを繰り返して目標形状に仕上げる方法が形状精度を確保するために有効であることを確認した。
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直流電圧における校正技術の確立に関する研究
松沢 草介  工藤 賢一  上条 和之

 技術の高度化により、企業が必要とする電気計測精度は高くなり、使用される計測器は益々高精度化している。計測が高精度になるにつれ、これまで無視されていた種々の不確かさの要因が計測の信頼性を低下させる。精密工業試験場の電気標準校正体系のうち、直流電圧についてこれらの不確かさの要因を評価し、排除可能な校正方法を検討した。これにより企業に対してより信頼性の高い電気標準を供給することが可能になった。
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砥石切断機の異音(ガラ音)改善の一手法
花岡 健一  遠藤 拓也

 無負荷回転時に砥石切断機から発生する異音を解析し、その対策をおこなった。ギヤの衝突振動がシャフト、樹脂製ボディに伝わり、異音が発生していることがわかった。ギヤとシャフトの固定 方法を圧入方式からキー止め方式に改良することにより、ほぼ100%の製品から異音をなくすことができた。現在も、ギヤとシャフトの固定は、キー止め方式で生産を続けており、異音に対するクレームはなくなった。
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光学部品のキズ・異物の検出
横道 正和   丸山 久友

 ガラス製光学部品の微細なキズや異物を、一般的な解像度のITVカメラを使い、しかも光学的倍率を上げることなく検出する手法を検討した。照明の入射角を大きく取り、その正反射方向から撮像することで、正反射した高輝度部分周辺のキズが観察できた。高輝度部は観察の死角となるが、複数の方向から撮像した画像を合成する手法により、部品全面のキズの検出ができた。
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振動診断技術の開発
小口 京吾

 加工状態の良否を歪みセンサにより判定する場合、センサ波形を正常加工時に記録した基準波形と比較する手法が有効である。しかし歪みセンサの信号は、正常加工中でも波形が緩やかに変化するため、固定した基準波形では対応しきれない。そこで、デジタルフィルタ技術を利用して緩やかな信号変化に基準波形を追従させるソフトウエア処理を開発した。またそのアルゴリズムを表現する数式を導出し、処理の効果を詳細に解析した。さらに、この結果に基づいて、整数演算によるフィルタ処理プログラムを開発した。
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熱分解ガスクロマトグラフィーによるニトリルブタジエンゴムのキャラクタリゼーション
征矢 隆

 ニトリルブタジエンゴム(NBR)について、熱分解ガスクロマトグラフィを用いて熱分解生成物を解析することによって、熱分解の最適条件とアクリロニトリルの定量性及びブタジエン連鎖との関係について解析を試みた。その結果、アクリロニトリルモノマ(AN)とブタジエンモノマ(BD)のピーク高さ比とモルパーセントとの間に検量関係が得られた。また、ブタジエンダイマ(BDD)とブタジエンモノマのピーク高さ比からランダム共重合体コポリマのブタジエン連鎖は、アクリロニトリルとのモル比が1:1に近ずくに従って交互共重合に近づいていることが、推測できた。熱酸化劣化の試料についても情報を与えてくれることがわかった。
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デジタル回路のコモンモードノイズ対策に関する研究
蜜澤 雅之  輕部 俊幸

 デジタル回路基板から放射される電磁雑音、特にコモンモードノイズの抑制手法について電源パターンの配置の違いによる変化、また、デジタルICに供給する電流量の影響の面から評価を行った。その結果、電源パターンの違いは電源パターン間(VccとGND)の電位差波形に影響し、そこにパターによるアンテナ効果が加わり放射電界強度に大きく関与することを確認した。一方、ICに供給する電流を適度に抑制することにより放射ノイズを減少させる対策手法に関する知見を得た。
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チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系高誘電率バリスタの酸化焼成に関する研究
工藤 賢一  垣内 健児  上条 和之

 SrTiO系高誘電率バリスタの酸化焼成条件による電気特性への影響について調べた。その結果、バリスタ特性については酸化ビスマス(BiO)の有無に関係なく、ほぼ同じバリスタ指数約7〜11のものが得られたが、ばらつきの少ない特性が発現する焼成温度の範囲は、BiO無しの方が広く、1050〜1200℃であった。容量性については、両者で焼成温度による見掛け誘電率の変化の様子が異なり、バリスタ特性が発現する温度範囲では、BiO無しの方が高い傾向を示した。これらの結果から、最適な酸化焼成条件、粒界の電気特性について検討した。
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ニッケル・シリコン薄膜の電気特性
黒河内靖子  三沢 雅芳

 高抵抗率の抵抗薄膜を得るため、ニッケルとシリコンのターゲットを用い、反応性ガスとして窒素ガスを導入した二元同時の反応性スパッタ法により窒化ニッケル・シリコン薄膜を作成し、その電気特性の評価を行った。その結果、スパッタ直後の膜では、窒素ガス流量の増加に伴い、体積抵抗率(ρ)が増加し、シリコン濃度が高いほどその傾向が強かった。また、シリコン濃度の増加に伴い抵抗温度係数(TCR)は正から負へと変化した。これらを熱処理するとρは減少し、TCRは正の方向に移行した。窒素の添加により、ρは窒素がない場合の約2倍に増加した。また、シリコン濃度が50±5%付近の広い範囲で、TCRを±100ppm/℃以内とすることができた。
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《資料》
ブロックゲージ光波干渉測定における校正の不確かさの評価
田中 敏幸

 ブロックゲージの光波干渉測定における、校正値の不確かさを評価した。校正方法の実際を考察し、校正方法と校正値との関係を数式によりモデル化することで、不確かさの成分と合成標準不確かさの関係を明らかにした。また、不確かさの成分の標準不確かさを検討し、合成標準不確かさを決定した。
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ブロックゲージ比較測定における校正の不確かさの評価
田中 敏幸

 ブロックゲージの比較測定における、校正値の不確かさを評価した。実際の校正方法を考察し、校正方法と校正値との関係を数式によりモデル化することで、不確かさの成分と合成標準不確かさの関係を明らかにした。また、不確かさの成分の標準不確かさを検討し、合成標準不確かさを決定した。
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ブロックゲージ光波干渉測定における温度測定の標準不確かさ
田中 敏幸

 ブロックゲージの光波干渉測定において一般的に行われる、熱電対を用いたゲージ温度測定の標準不確かさを検討した。温度測定の方法・手順を考察することで、不確かさの成分に分解・検討した。その結果、熱電対を用いたゲージ温度測定の標準不確かさには、繰り返し測定等で、不確かさを小さくできる成分とできない成分があることを確認し、そのほとんどが、自らの努力では不確かさを小さくできない成分に依存していることが明らかとなった。
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パソコンを用いた音圧レベルの表示
花岡 健一

 音圧レベルの測定には、主にポータブル型の精密騒音計を使用している。持ち運びには都合が良いが、レンジ切り替えのアナログ表示のため、測定に慣れていないと指示値を読み間違うことがある。そこで、騒音計、デジタルマルチメータ、パソコンを用いて、音圧レベルの値をパソコン画面 に表示するシステムを開発した。これにより、音圧レベルをリアルタイムでパソコン画面に表示することができた。
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化学ニッケルめっき液中の亜鉛イオンの影響
鳥羽 正司

 亜鉛は化学めっきが始まる際にめっき液中に溶解し、液中の亜鉛量が増大する。このために光沢が無くなり、めっき速度にも影響を与え、めっき液を廃棄しなくてはならない。すなわちアルミニウム上の化学ニッケルめっき液の寿命が短いと言われている由縁である。 そこで、亜鉛濃度と光沢、めっき速度について検討した。その結果、めっき厚さ5μm以上を確保するためには亜鉛は最大 100mg/L以下が許容しうる限度であることが判った。また、めっき初期に電位をかけることで、めっき液中の亜鉛量が300mg/Lまで増えても良好なめっき被膜が得られた。
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洗浄液の評価技術に関する研究(第2報) −蛍光光度計のマッピング測定プログラムの作成と評価−
小池 明夫

 洗浄に使用される界面活性剤を分光蛍光光度計を用いてその特性評価を行った。励起波長、蛍光波長及び蛍光強度の関係を調べるため、簡易なマッピング測定プログラムを作成し、そのプログラムにより励起波長、蛍光波長及び蛍光強度の関係を検討した。その結果、非イオン系界面活性剤ポリオキシドデシルエーテル、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール及び油分としての流動パラフィン等がマッピングパターンの違いとして識別できることがわかった。界面活性剤に油分を添加した場合、界面活性剤固有の励起−蛍光波長位置での定量化が難しい。なお、マッピング測定プログラムにより、各種溶剤の蛍光特性の測定が可能になった。
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ポリアセタールのリサイクルに関する研究 −各種混合物からの分離特性について−
藤沢 健

 ポリアセタールにガラス繊維、金属粒子、樹脂粒子など種々の物質を混合して熱ジメチルホルムアミドに溶解し、冷却析出物質の形状変化および混合された物質とポリアセタールとの分離特性について検討を行った。その結果、無機系の混合物では特に影響は見られなかったものの、有機系の混合物では、析出物の形状や分離特性に影響を及ぼすことが示された。
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故障解析に見られる傾向と事例
須山 聰

 依頼等に見られる主要な物性及び故障解析事例等をまとめ、解析における手法や分析の補助データとすることで、依頼等の遂行を容易にすることや技術指導に活用することを試みている。まだ、総事例数は少ないが、1988から1997年までの故障解析等に見れらる傾向を解析し、1980年代に実施した同様な結果と比較し考察を試みた。また、最近のパターン間ショート等の例を抽出し考察を試みた。
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簡易磁場解析システムによる磁性粉の解析
三沢 雅芳

 磁性粉を固化した軟磁性応用製品において、磁性体全体の磁化特性は実測できるが、磁性体内部の磁場分布を実測することは困難である。このため、簡易的な磁性粉の集合モデルを作成し、パソコン上で動作する有限要素法の磁場解析ソフトを用いて解析を試みた。その結果、外部磁界が直流である場合、磁性体粉内部の磁束密度が一様に分布することが示された。また、外部磁界が高周波である場合の渦電流密度分布も求められ、極端な場合は、磁性粉の集合である磁性体内部の構造変化が起こりうることが示された。
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ゾルゲル法による酸化チタン薄膜の合成
成田 博

 金属アルコキシドを用いたゾルゲル法により、酸化チタン薄膜を石英ガラス基板上に合成し、合成条件と膜の性状との関係を、薄膜X線回折、光透過スペクトル、X線光電子分光スペクトル測定及び走査電子顕微鏡観察により明らかにした。合成した酸化チタン薄膜はいずれも、透明なアナターゼ型構造を有する多結晶膜で、紫外光領域で大きな吸収を示した。1回のコーティングで形成される膜の厚さは10nm弱で、1000℃加熱した膜には直径数10〜200nmの粒子が観察された。この膜の粒子は、ゾル液の熟成日数を長くすることにより小さくなった。
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《抄録》
低温純水中におけるAl−Mg合金表面の酸化膜成長過程
塩沢 玲子  沖 恭一  新井 進

 水洗浄に用いられるような中性で電気電導度の低い純水中における酸化膜成長は、電気化学的手法では解析が難しい。そこで溶出した陽イオンの定量分析、成長した酸化膜の重量測定およびオージエ電子分光分析、電子線回折等の表面分析により低温純水中におけるアルミニウム−マグネシウム合金表面の酸化膜成長メカニズムを検討した。酸化膜成長に対する純水温度の影響については60℃を越えると酸化速度の活性化エネルギーが変化し、酸化膜の成長速度は約10倍となった。また、純水中の酸化膜の成長速度は大気腐食による成長速度の約70倍であった。本実験条件で成長した酸化膜の構造は非晶質の水酸化アルミニウムであると推測され、その成長メカニズムは純水中に溶出したアルミニウムが水酸化アルミニウムとして選択的に金属表面に析出することによると推測された。
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電析したSn−Ag合金の結晶構造と微細組織
新井 進  渡邊 徹

 はんだの鉛フリー化に対応した鉛フリーはんだめっきとして注目される錫−銀合金電析膜の結晶構造および微細組織を解析した。錫−銀合金めっき浴には独自開発したピロリン酸−ヨウ化物浴を用い、銀含有量5〜75原子%の錫−銀合金膜を電析した。電析した錫−銀合金膜のモルフォロジーは膜組成と良い相関性が認められ、銀含有量20原子%付近で最も平滑な表面形態となった。X線回折の結果から電析した錫−銀合金膜がβ−Snと銀−錫系金属間化合物の共晶構造であることが判明した。透過型電子顕微鏡による電析膜の断面構造解析の結果、錫−銀合金膜が基板から一様に成長しており結晶サイズがサブミクロンオーダーであることが分かった。電析錫−銀合金の組成−相図は銀含有量75原子%以下の組成範囲で錫−銀熱平衡状態図と類似していた。
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電気めっき法によるSn−Agはんだバンプの作製
新井 進

 フリップチップ接合を鉛フリーはんだを用いて実現させる新技術として電気めっき法を用いた錫−銀はんだマイクロバンプの形成を検討した。錫−銀めっき浴は新規に開発したヨウ化物−ピロリン酸浴を用いた。市販のレジストは浸漬試験による外観変化が認められなかった。作製したストレートウォール型バンプとマッシュルーム型バンプの外観観察から電析物がレジストパターンに忠実に成長することが分かった。ウェットバックプロセスではバンプ中の銀の含有量が共晶組成より高くなると凝固時に銀−錫系金属間化合物の巨大結晶が析出することが判明した。バンプ中の銀含有量が約3%になるように電析条件を調整し更に錫−銀めっきの前にバリア層としてニッケルめっきを行いボール型バンプを作製した結果、直径100mm、高さ約70mmの錫−銀はんだマイクロバンプが形成できた。
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マイクロ波プラズマCVD法により形成したシリコン薄膜の熱電能
米久保 荘  上村 喜一  小沼 義治

 マイクロ波プラズマCVD法により形成したシリコン薄膜の熱電特性を評価した。原料ガスとして水素希釈シランを用い、ドーピングガスとしてフォスフィンまたはジボランを用いた。X線回折の結果、形成したシリコン薄膜は多結晶であり、平均結晶粒径は約100nmであった。シリコン薄膜と対向電極との間の熱起電力を測定した。その結果、熱電能はドーピングガス流量に依存して変化し、シランに対するフォスフィン流量比が0.05%で形成したシリコン薄膜が、最大の熱起能0.9mV/Kを示した。
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(H13.05)

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