長野県工業技術総合センター外部評価委員会の概要

外部評価委員の皆様からいただいたご提言やご質問を、「事業推進方針」、「支援体制・サービス向上」、「ニーズ把握」、「設備導入・活用」、「PR・情報有効活用・連携」、「業務成果」、「技術課題」等に分類しました。

 以下に順を追って、ご提言等の要旨とそれに対するセンターの取り組み・考え方を記載します。

 

はじめに、センターの「事業推進方針」に関して、次のご質問をいただきました。

@  「自律」という言葉は、どういう意味で使っているのか。「自律」を事業方針の最初に持ってきたのはなぜか。

A  県工業出荷額7兆から6兆円、製造業1万所から6500所と減っているということでセンターの存立に関わる問題だと思うが、どう考えているか。また、他県の状況との比較はどうなっているか。

B  産業というのはQCDES特にEnvironment Safetyというのが、キーワードになりつつあるが、これは社会のみだしなみとしてやらなくてはいけない。行政としての取り組みと現状はどうか?

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

センターの発足に伴い事業推進方針を掲げ、その中で、個々の職員が考えて行動する、即ち、自らを「律する」という意味で「自律」ということばを使っています。また、センター化に併せて、従来本庁にあった企画機能の大半がセンターに移管され、これからは、「センターが主体的に、その事業の企画・実施化に取り組んで行くんだ」という意気込みを示すものです。

また、製造業支援については、工賃稼ぎの工場は減っていくと判断される中、中小企業が強みとする技術を磨いて売り込んでいくお手伝いを技術マーケティング事業や巡回技術相談などの中で実施していきます。

さらに、環境技術については、材料、精密・電子の両技術部門で、分析・評価業務におけるサービスに取り組むほか、材料技術部門を中心に、新材料の開発やLCAFCAなどの新たな設計技術支援への取り組みも行っていきます。

 

 

「支援体制・サービス向上」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   今回の大きな機構改革について、一番良かった点と見込みの違った点を一点ずつ挙げれば何か。

A   統合のメリットをどう発揮するか。未だに各部門は独立している印象。まだ仕方ないが、来年以降は問われてくる。県に全体のビジョンがあれば一番良い。県の将来ビジョンに対して各部門がどうサポートするかという観点でやってもらいたい。縦割り構造からメッシュ構造にすることが必要。技術連携支援チームとサポートチームがキーになる。目利きや横串役として重要。役目を明確化して、技術を俯瞰的に見られるようにしてもらいたい。当面は仕方ないが、その役割を強化していって欲しい。

B   統合のメリットは大きい。技術連携支援チームとサポートチームが出来たのは大きい。未だに中小零細企業にはセンターは敷居が高くて相談しづらいと感じている企業も多い。問題を仕分けしてくれるような人がいるのは企業にとっては助かり頼りになる。複合した問題にチーム編成で対応するようになれば“目利き”の役割を果たすこともでき、ベンチャーファンドの判断の頼りにもなる。大学、中小企業振興公社のプラットホーム、バトラーサーヴィスなど他機関等との連携がスムーズに行くと期待している。

C   信大も産学官連携室が作られ、本部に情報が集まるようになった。センター長を中心に「営業本部」に情報が入ってくるように一本化したのは良いことだ。重点分野は、融合したテーマであり、よりフレキシブルな取り組みのために良い。大学とも連携しニーズを探るとよい。

D   今後、スピード化、多様化の中で、100人程度の職員でこれだけのサービスのQCDを維持できるか心配だ。人材の確保(定年退職者、企業人材活用)、自由な資金の獲得を工夫し、サービスの低下、スピードの低下がないよう人的体制面での対応をするべき。

E   統合して何が変わったのか?というところが正直なところ。実際にはそれぞれの場所に行かなければならない。組織だけが先行している感がある。4カ所(4部門)に各部門の人が一人ずついて、そこに行けば4つの部門のことが全て分かる、「精密」に行けば「食品」のことも分かる、というようにしてもらいたい。

F   攻めの姿勢、ダイナミックな組織運営が求められている。人材を確保し、PR、敷居を低くし、マーケティング面のサポートも実施して欲しい。海外まで展望した技術の旗振り役として期待されている。

G   研究機関の評価は、その機関の本質的な価値を評価するには如何かと思える基準で評価されることがある。情報技術部門は必要不可欠な分野でありながら、知的高度化技術という解りにくさもあるから、研究会など機会を捉えて大いにアピールしてほしい。

H   試作できる部門があった方がよいのではないか。

I   常勤以外の人をうまく使うこと。競争的資金で雇える場合もある。大学との連携では大学院生も戦力になる。

J   研究員派遣型事業は企業が助かるので、拡充してもらいたい。

K   食品技術部門については、建物が悪くなっているが、現在、改修・改造の計画はあるのか?信州大学の農学部で敷地も提供するので、食品技術部門に来て欲しいという話もある。

L   情報技術部門の人員が減りウエイトが小さくなった印象があるが、逆にものづくりの神経系を司るシステム制御技術者を、精密電子技術部門や材料技術部門にも拡大させたと前向きにとらえ、今後の成果が期待できる。

M   ものづくり戦略会議のとき感じたことだが、長野県の企業はものづくりはうまいが、マーケティングが下手。食品の場合は、小さい企業でも完成品を売るが、大手流通業者の方が力が強く、新製品を出しても儲からない。マーケティング戦略が大切である。マーケティングの指導については、インターネット利用等もあるので情報部門でも取り組んでもらいたい。

N   こういう会議の場の中に女性が参加するようになるとまた違う。

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

センター化に伴う効果等は次のとおりです。

まず、技術相談への対応については、企業からの相談を技術連携支援チームで受け、各技術部門の担当者に直接つなげる仕組みもでき、スピードアップになりました。

また、事務改善のうち、経費に関する点については、各部門で共通して行う事務、例えば機器購入など入札契約事務を一本化することによる事務量の軽減や経費の削減が期待でき、既に、17年度から実施しています。

同一地域内の部門における庁舎管理委託業務の一括委託契約をH18年度に実施できるよう検討しています。

緊急修繕など突発的な案件について、各部門間の弾力的予算執行が図れることで、迅速に対応できる範囲が拡大しました。

さらに、人事面では、適材適所に基づく各部門間での研究職員の異動・配置により、今後県内産業(製造業)が必要とする技術支援に的確に応えることが可能となっています。

しかし、一方で、広い県内で地理的に離れた4部門の密接な連携が課題であり、運営委員会の各部門での交互開催、企画員会議等の開催頻度・内容を高めることなど、改善に向けて試行錯誤しています。

今後はさらに、ご指摘いただいたセンター化のメリットを発揮すべく技術支援体制作りを行い、サービスの向上に努めて参ります。

また、食品技術部門の施設については、改築の計画は無く、緊急を要するところから徐々に改修しています。

情報技術を核として取り組むべき課題も多く、センターとして体制を整えながら情報技術部門の事業推進に反映していきます。

 

 

「ニーズ把握」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   成果を出すためには受身でなく、いろんな企業を見ることで世の中の流れが分かる。もっと外に出て積極的に企業との交流を図って欲しい。また、「食品」だから「電子」には行かないというのではなく、どんどん交流すべきだ。

A   伊那に食品メーカーと信大でやっている懇談会がある。大学も変わってきている。地域でやっている研究会にセンターからも所長、部門長が出席し、話しあって欲しい。企業に出てニーズ発掘することが重要だ。

B   限られた人員で大変だが、待ちの姿勢でなく外に出ることが必要だ。

C   地域と目線が合うように情報収集をしてもらいたい。

D   技術マーケティング事業は是非足でやってもらいたい。自らセンターに足を運んでいる企業は心配ない。これ以外の企業が心配。10人〜20人の企業と話しをすると、センターは敷居が高いと思っている。使用料が相当高いとも思われている。そういう人の所へは出かけて行くしかない。企業でも、営業体制を作り、何百社と当たると仕事を出せる企業が見えてくる。センターでもムダと思っても外へ出来るだけ足を運んでもらいたい。職員の中でいつも1人は外に出ている、という位でやってもらいたい。

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

センターの技術支援業務は、技術相談が起点となり、課題解決の必要性に応じて、センターの保有設備による試験や研究開発などの場面に進んでいきます。

ご指摘のように、県内のものづくりの現場でどのような技術支援ニーズがあるのかについては、センター内に居て得られる情報は限られています。より高品質の技術支援を実施していくために、現場技術相談、技術マーケティング調査等の機会を増やし、現場ニーズの的確な把握に努めて参ります。

 

 

「設備導入・活用」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   企業の出荷額が減り、センターの設備投資も減るということで心配している。センターの設備品質が落ちると、企業が頼れなくなる。設備導入は、選択と集中で、バラまかずに、これだ、という一点主義で業界ニーズを拾ってやってもらいたい。

A   設備の老朽化によりセンターの業務品質を落とさないよう、設備投資は中断せず継続してもらいたい。

B   少人数で多くの仕事をし、技術相談から研究へと企業支援の成果を上げているが、設備費の減少が心配される。

C   中小企業が持てない高度な設備による依頼試験・機器貸付等のニーズは多いと思うが、設備費の減っている中で将来どのように対応していくのか。

D   プレゼンテーションを工夫していい設備がセンターにあることを知らせる努力をしてもらいたい。

E   機器の導入に当たっては民間の意見も聞いてもらいたい。

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

導入した設備は、中小企業では持てないものとして頼りにしていただいており、これらを使った依頼試験のウェイトが高いと考えます。

国の補助金が減る中、県単独での予算化に努力しています。また、今後予想される、公設試に関する中企庁の新たな施策に対応し、さらに、産業支援機関等とも連携しながら提案公募制度での導入も考えていきます。

ご指摘のように、企業の皆さんからご要望をお聞きし、ニーズに応じた設備更新のための予算化等に努力していきます。

特別研究予算は500万円程度ですが、将来の企業支援の目玉となる大きなプロジェクトにつなげる位置づけで、各部門の提案の中から、将来的に必要になるものを運営委員会で検討して選択し、集中的に研究費をつけております。

 

 

PR・情報有効活用・連携」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   情報発信が重要。パンフレットを1冊出せばよいと思いがちだが、トップは忙しく厚い資料は読まないという認識で情報発信して欲しい。

A   センターを利用して助かったことを利用者自身は語らないので、PRの工夫をすべきだ。

B   依頼試験、技術相談等から得られる県内の中小企業が抱えている課題の内容を、守秘義務に抵触しない範囲で、工夫してうまく情報発信できないか。中小企業にとっては大変大きな情報になる。

C   県内企業の技術情報は宝の山であり、これを活用する工夫が必要だ。県の産業政策のためにもデータベース化して欲しい。

D   空洞化、差別化が進むことに対して、いいものをどう結びつけるかというのも大事。それにはデータベースを生かす。

E   大学では研究シーズ集を作り、あちこちで発表している。そういうことを連携してやったらどうか。

F   単独出願で眠っている特許等があればTLOとも連携することを期待する。

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

PRについては、ご指摘いただきましたように、様々な機会を捉えセンター業務をPRしていき、気軽に、かつ、効果的にセンターをご利用していただくよう努めて参ります。

業務を通じて得た技術情報の有効活用については、例えば、共同研究している企業の了解を得ての報文での公表やセンターの成果発表会等で普及に努めています。

依頼試験等で得た情報の活用については、職員がこれからの企業支援のために取り組む経常研究テーマに反映していく形を取っています。

また、更なる情報活用として、H16年度から、研究成果発表に加え、依頼試験等による業務の成果についても、可能な範囲で発表するよう取り組んでいます。

大学等との連携に関しましては、連携による課題解決のスピードアップ、複合化への対応が、センター化の狙いの目玉でもあり、センター内の資源(技術、設備、情報)を生かして、対応して参ります。

なお、産学官連携、共同研究ではもちろんのこと、特に、創業支援センターの創業者の方たちの技術開発では、作ったものが売れるという視点で取り組む必要があり、経営の視点からアドバイスできる方にも技術支援に加わっていただいています。

 

 

「業務成果」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   研究については精密・電子技術部門が特にすばらしい成果を上げていると感じた。

A   精密・電子技術部門ではRoHS指令対応を支援していると聞き驚き、非常に心強く感じた。

B   数字を見れば、1人当たり多くの業務をこなし、十分やっている。事業所数が減っても実績は横這いで、これはセンターが信頼されている証拠だ。長野県は他県と比べてもよくやっていると言われている。

C   知的財産の取り扱いについて、今まで長いこと技術相談等をやっていてどのようにやってこられているのか?

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

評価に甘んじることなく、今後も全技術部門で技術支援業務の品質向上に励んで参ります。

た、知的財産については、次のとおりです。

県の職員の場合は、職員の勤務発明に関する規則があり、それに基づいて対応しています。

発明時に、職務であれば知事が引き継ぐという形で届出処理をしています。センターの場合は、ほとんどが企業との共同出願の案件です。去年は11件の出願がありました。

出願した場合の職員への補償は、出願時に県が承継した場合は、一時金として3000円、そして実施料収入については、県に収入があった分の30%を上限なく発明者である職員に還元するようになっています。

平成16年度には、実施契約を20企業と結んでいます。実施料収入は、約23万円です。過去10年くらいを見ると、平成2年は800万円近く収入がありましたが、今は大変少ない状況です。

 

 

「技術課題」に関しては、以下のご提言をいただきました。

技術課題(食品・バイオ)

@   電子関係では、最先端のデジタル化技術への中小企業の参加は難しいが、食品は注目を浴びる技術だ。小さい企業から、バイオ、農業の工業化等に取り組んでみたいという人が出てきている。食品関係について、更に予算を取ることが必要だ。

A   ヤマハがバイオに本格進出とのニュースがあった。内容は、赤い色の藻類の研究。ピアノから発動機なので、バイクからバイオへ行ってもおかしくないとの話。この裏に何があるのか、本格的な設備をおくということで中途半端ではない、ヤマハだからできるものすごいものである。

B   センターでやっているバイオ関係について、信大も最先端設備を備えているので是非、融合しての取り組みをしたらどうか。

 

技術課題(食品)

@   食品分野では研究開発を行える企業と、行えない小規模企業との2極化が進んでいる。研究開発のターゲットやテーマの設定をどうするかが重要である。

 

技術課題(IMS)

@   センターの情報システム部門と、例えば計測部門が融合し、検査データの自動収集システムとか、全数検査装置とかの開発に取り組んでもらいたい。

 

技術課題(その他)

@   当社は下請体質からの構造転換にもがいているが、センター各部門の研究会に参加し、技術者レベル、また経営管理者相互の交流を通して多くの情報を得ている。センターの職員もこのような研究会に積極的に参加し、民間企業の実情と課題そしてヒントをつかんでほしい。

これらについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

センターとしては、県内のものづくり現場の技術課題解決のために、様々な分野の技術支援を技術部門間連携をしながら実施して参ります。

今後は基盤技術分野に加えて、長野県のものづくり産業の市場競争力の向上を目指して、新たに4つの技術分野(環境・エネルギー、スマートデバイス、健康・福祉機器、バイオテクノロジー)を重点に掲げて取り組んでいきます。

特にご指摘を頂きました、食品技術の課題やセンター化の利点を生かした技術開発への取り組み等については、現場のニーズを十分に把握して取り組んでいきたいと思います。

また、センターが関わる様々な研究会については、より一層の成果を上げること、成果のPR等に努めて参ります。

 

 

「人材育成」に関しては、以下のご提言をいただきました。

@   長野県にものづくりを残すために、海外の生産現場へ行って、実際に見ることでその方策等が分かってくるので、是非職員を海外へ出してもらいたい。

これについてのセンターの取り組み・考え方は次のとおりです。

現在センター職員の平均年齢は44歳と高齢化しています。少ない若手技術者の資質向上のため、通常業務を通しての技術習得だけでなく、大学、()産業技術総合研究所等への研修派遣を行っています。また全国公設試験研究機関の職員との技術情報交換会や関連学会への出席等を通じて技術のレベルアップを図っています。

さらに、自己研鑽の場として積極的に国際会議への参加も図り視野を広げられるようにしています。